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第4幕 ページ4

「おはようございます、遅くなってすみません!」






稽古場に入ってきたのは廣瀬君だった。






「黒木圭人役の廣瀬大介です。全力で千秋楽まで駆け抜けましょう。よろしくお願いします!」

「翔ちゃんのアイドル来ちゃったよ。挨拶でもしてきたら?」






私は、まっきーのそんな言葉も聞こえていなかった。

返事がないので私の方を見たまっきーはギョッとした。






「ちょっ、翔ちゃん!?なんで泣いてんの!?え!?」






その声に他のキャストさんも私の方を見る。






「おいまっきー!新入り泣かすなよー。」

「ちがっ、俺じゃないですって!なあ翔ちゃん!」






やっと我に返った私は反射的に、はい!と答えた。

向こうで廣瀬君も心配そうな顔をしている。

目が合って、なぜか私の涙は止まらなくなった。






「え、翔ちゃん、」






祥平君の言葉でみんなは静かになった。






「まさか、廣瀬大介に会えたのがどうとかで泣いてんの?」

「え、俺のせい!?」






視線が一気に廣瀬君に集まった。






「大介も成長したなあ!弟子にでもしてやれよ!」

「ちょっと、どういうこと!?全然理解が追い付かないんだけど!」






廣瀬君は少し考えると、私の方へ駆け寄ってきて、正座をした。






「えぇっと、初めまして、廣瀬大介です。大介でいいよ。」






私の目の前に、あの廣瀬大介が座っている。

私は両手をギュッと握りしめ、声を震わせながら答えた。






「む、村瀬翔です!大介くんに憧れてここまで来ました!っ、よろしくお願いします!」

「そっか、俺なんかに...ありがとう。よろしく、翔君。」






大介くんは握手しようと手を伸ばしてくれた。

私は喜んでそれに応えて握手すると、大介くんは驚いた顔を見せた。






「翔君、本当に男、だよね...?」






私はビクッとした。私が否定するよりも先に、周りの人が声を上げた。






「ははっ、大介も言ってやがる。もうそのくだりは終わったよ。
 ちっせぇし、細っこいけど、細いに関しては大介もなんも言えないよな!」






皆はドッと笑った。

大介くんも、やめてくださいよー!と笑っている。

私は少しほっとした。

皆の笑いが一段落したところで、監督がまた、読み合わせ再開の声をかけた。

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設定タグ:廣瀬大介 , 2.5次元 , 舞台俳優   
作品ジャンル:恋愛
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ココアちゃんだよん - 続きが気になります!! (2022年7月26日 11時) (レス) @page17 id: d0534e1594 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:金春 | 作成日時:2017年12月21日 16時

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