第16幕 ページ17
「いや、ちょっとね。
もし夏樹ちゃんが男装をしないで、女優だったらどうだったのかなって思ってさ。」
私は"女優…"と呟いて、つけっぱなしだったテレビに映るさやかさんを見た。
千鶴役のさやかさんは、「沖田さん、沖田さん」と言って、沖田役の大介くんを可愛らしく追いかけている。
「夏樹ちゃんが女優だったとしたら、何か恋愛ものの舞台で、俺と夏樹ちゃんは恋人同士〜、なんてのもあったのかもね。」
「え…」
大介くんは"あ"と声を漏らし、私を見た。
「今のは別に変な意味じゃなくて…
えーっと…あ!
翔君だけじゃなくて、夏樹ちゃんとも舞台に立ってみたいな!って思ったり…」
私は不思議そうに大輔くんを見つめ返した。
「…ははっ、ごめんね。自分でも何言ってるかわかんないや。」
「はぁ…」
少しの間、沈黙が続いた。
どうやら大介君は沈黙が苦手らしく、終始そわそわしている。
私と大介君はほぼ同時に食事を終えた。
「大介君、そういえば見せたいものって何だったんですか?」
「あ!そうだった!!ちょっと待ってて今持ってくるから!!」
大介君はバタバタと何かを取りに行き、そしてとても嬉しそうに帰ってきた。
「はい、これ!!プレゼント!!」
そう言って大介君は綺麗にラッピングされた袋と、細長い封筒のようなものを手渡してくれた。
「ほら、早く開けて!開けて!」
私は急かされて袋を開けた。
「ジャージ…?」
中に入っていたのは紺色で宇宙柄のかっこいいジャージだった。
「そうそう!!稽古事っていっぱい持ってるとなんか楽しいじゃん?
気に入ってもらえればいいんだけど…」
大介君は少し照れくさそうにそう言った。
私は嬉しくて嬉しくて飛び上がりそうだった。
「あ、ありがとうございます!!」
「じゃあ次はこっち!
さて、何のチケットでしょうか!」
「チケット…?」
私は恐る恐る封筒の中を取り出した。
中に入っていたのは、"チケット"に似た手書きの紙だった。
私は内容を読み上げる。
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ココアちゃんだよん - 続きが気になります!! (2022年7月26日 11時) (レス) @page17 id: d0534e1594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:金春 | 作成日時:2017年12月21日 16時