散レ散レ赤月の夜に. 弐【暁のヨナ】

▽全ては あの日から ページ2

ハスキの優しい笑みはとても温かくて、自慢の父を思い出す。


悲しい時に、誰かに抱きしめてもらうだけで、こんなに安心できるのかと初めて知った時だった。

甘やかな彼の温もりがとても安心できて、そのまま泣きじゃくった。


大好き
辛い時もずっと側にいてくれた大切な人。





でも、


そんな 貴方も『あの日』に亡くなった








『あの日』の風景も鮮明に脳裏に浮かぶ




脳裡に宿った俤(おもかげ)が
日を経るにつれて鮮やかになりこそすれ、
少しも薄れようとしない




一度聞いたら心に縫い込まれでもするように、
決して忘れることの出来ない、


救いを求める声

耳の奥に焼き付いた叫び声






我に変えれば、僕 1人だけ。

僕だけが『生き残ってしまった』









＊







目の裏にまで映ったのは

赤い、赤い 満月だった。



赤月によって照らされたココは、
とても残酷な世界…




____ あぁ やっぱりね




赤く散る、

人に

物に

剣に

僕






初めて目にしたはずなのに

____知ってる。





僕は この孤独というものを

____ 知っている。







「ごめ…ごめんっ……」




数え切れない謝罪の言葉

________ ごめんなさい






憎たらしいほど
よみがえる この記憶は








どうやら






終生






消えないみたいです。









.









悲惨で、残酷で、忌まわしいあの日の記憶








.









＿ 赤月の夜 ＿



それは、僕が見た 最悪の悲劇









.









そして今は







記憶は『破壊』され、

意識は混濁の中にある

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