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▽天性起句 ページ1

「うっ……ひぅ……」




あれはそう、

僕がまだ七つにもなっていない
幼い頃だった。




この時から、薄々気付いていた。




自分は他の子とは違う、この異常な身体能力。



膂力、持久力、聴力、瞬発力


どれも通常の男の子より
上に上へと余裕に超えていた。


そして何より、この“能力”に気付いた時だった。






*






僕は 女であったが
やっていたのは武術の稽古。

本当は、これが痛くて辛くて嫌で
いつも隠れながら泣いて過ごしていた。






『そんなに泣くと目が落ちますよ』



そんな時、家に仕えていた奉公人は表情を動かしもせずにそう言った。





「ハスキのうそつき。
おちたりしないもん。」


ハスキ「いいえ、落ちますよ。
目も悲しみに負けて、あなたの身体から逃げたくなってしまうのです。」





嘘だと分かっていても、真顔で言われるものだから つい不安になってくる。




「…っ、わたしに かまわないで。
おせっきょうなんて しないでよ。」




お説教なんていらない。
もう疲れた。疲れたんだよ





ハスキ「…そんなに辛かったら我慢しなくていいのですよ。」


「でも、わたしが…
ぼ、ボクがいった ことだから。」





僕は抱えた膝にバッと顔を埋めた。





父は英雄だった。
ここ、陰陽の都・聖の部族長であり、あのユホン様と並んでこの高華王国を守り抜いていた。
その上優しくて穏やかて、自慢の父でもあった。


…しかし 近頃のこと
戦場の中で命を落としてしまった。





それから母は変わった。

いつも悲しそうで、泣きそうで
食事も取らずに痩せ細ってゆく。



見ていられなかった。




なら、この異常な身体能力を使って
父の代わりに強くなってやろう。

母が心配しないように僕が男になってやるって、言ってしまった。

自分からお願いしたんじゃないか



自業自得だ




「ばかだなぁ…うっ、おとうさま……」




溢れる涙に しくしく泣くと
ハスキは ゆっくりと歩み寄ってきた。





「な、なに…?」

ハスキ「いいえ__少し失礼」




ふわり、と不意に抱きしめられた。

他人にこんな事をされるなんて初めてで
ビックリして息が止まりそうになった。





ハスキ「……なら、思いっきり泣くといいです。うんと泣いてスッキリしなさい。
それで、次 頑張っていきましょう。

辛くなったら、気が済むまで泣いて
それから笑ってください。


私が、ずっと側にいますから。」





これが僕にとって救いの言葉であった

▽全ては あの日から→


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かんざし

ラッキーカラー

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ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです


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(プロフ) - 初めまして、いつも楽しみに読ませていただいております。更新楽しみにしております。 (6月2日 21時) (レス) @page32 id: c7d3164cef (このIDを非表示/違反報告)
メリエリ(プロフ) - どうもこんにちは!すごく面白いです!続きが気になります!また、時間があったら更新お願いしますっ!待ってますよ!! (2021年6月27日 20時) (レス) id: 3b02c3cd6d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして。暁のヨナを見てこの作品に出逢いました。表現がとても上手で続きがすごく気になりあっという間に読み上げてしまいました。とてもいいお話で続きが気になります。お忙しいとは思いますが更新待ってます(^_^) (2019年3月13日 23時) (レス) id: 5c4434e6d7 (このIDを非表示/違反報告)
フジ - この作品大好きです!続き楽しみにしています!!頑張ってください! (2016年7月12日 22時) (レス) id: d2069fecf0 (このIDを非表示/違反報告)
睦月 雪(プロフ) - 早く続きが見たいです〜笑 更新頑張ってください!楽しみにしてます(*^^*) (2016年5月9日 16時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十朱 | 作成日時:2015年1月18日 9時

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