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「あれ、そっか、じゃあ私、デリヘル嬢じゃなくなったのか…」
実感が湧いたのか胸をなでおろすA。
と「いや、まだ客についとらんから嬢名乗るんも微妙やろ」
「そうか…おこがましいね……」
り「おこがましいってなにw」
て「……！！」
Aのその言葉で、てつやがなにか閃いた顔をした。あの顔は……悪いこと考えてる顔だ。
り「てつや、何考えてんの。」
て「ふっふっふ……Aっ！！！」
「え、はいっ！！」
新しい雇い主、のような感覚なのか、てつやの急な呼びかけにまた背筋を伸ばすA。
て「俺は、Aのためにこーんな動いた！！」
「う、うん！あ、はいっ！ありがとうございますっ！」
もともと先輩後輩だったのを、改めて実感する。
あくまでAは後輩なのだ。当初の部活の感じを思い出す。
て「デリヘル嬢として呼んだにも関わらず！抜いてももらってないのに！！この分の代金も色つけて支払ってきた！」
「えっ！？そ、そうなん！？ご、ごめんなさい…払う！払います！」
て「ちげえわ！！払ってほしいわけやない！」
ニヨニヨと笑いながら、ソファの真ん中に座り直すてつや。そして俺ととしみつに向かって手招きをして、両サイドに座るようあおぐ。
その行動を目を丸くして見つめる彼女に
て「A、ここ立って？」
俺たちの前に立つよう指示する。
はいっ！と良い返事をして、小走りで近寄る。
て「A、ここに何しにきたん？」
「え？…デリバリーをしに…」
て「なにを？」
「へ、ヘルスを…」
て「デリヘルってどういう仕事かわかっとる？」
「わ、わかって……る……」
下を向きながら自分の手をいじる。
普通のデリヘル嬢なら、ゴテゴテした爪をしているのに、Aの爪はなにも塗られていない、自然な彼女らしい綺麗な姿。
て「仕方なかったとしても、俺はAにはもっと危機感持って、自分のこと大事にして欲しかったなぁと思っとる。」
「……はい…ごめんなさい……」
こういう時のてつやの言葉は、本当に刺さる。
こいつの魅力というか、持っているものを改めて実感させられる。
ちゃんと良い先輩するやん、そう思って頬杖をつきながら微笑ましく見守っていた。
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作者名：よいちょちょ丸。 | 作成日時：2020年2月26日 18時
