まんなか。 (ページ50)

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そう言って布団をばさっとあげたかと思うと、もう片方の手を伸ばし、そこをポンポンと叩く。

それはまるで……

「腕枕したる！」

と「……は？お前ほんまに馬鹿なん？」

「なんで！腕枕リフレとかあるんやろ？癒しやん」

と「いや、そうじゃなくて……」

「いいからぁー！はやくぅー！」

と「わかった、わかったから……」

俺の手を持って引いてくる。
お前わかってやってる？ちゃんと。

お前に惚れて10年の男、ベッドに誘ってるってわかってる？
こんな敷居の高いベッドある？ってくらい、慎重に慎重にベッドに横になる。

距離をとるためになるべく手に近い方に頭を置く。骨の部分だと言うのに、柔らかいその感触が俺の頭や耳に触れる。

「んーっ！そこ痛いっ！！もっとやらかいところに頭置いてっ！！ここ！」

と「ばっ！？……はぁっ！？」

そう言って案内されるがまま、二の腕に頭を預ける。先程とは比べられない柔らかさに、固まってしまった。これは、やばい。

「ふふ」

いつもの笑い声が聞こえたと思い、顔を上げると至近距離にAの顔があって。
目があった衝撃でビクッとしてしまう。

「思った以上に近いね、これ。ふふ」

と「馬鹿やん、お前、ほんま……」

「ふふ、恥ずかしくなってきた……」

そう言って空いた方の手で自分の顔を隠して、くすくす笑っとる。

こんなん、我慢できる男おるん…？

「あ。としくんの匂いする。」

と「なっ……お前ほんま…」

「この匂い好き～」

クンクンと匂いを嗅ぎ、へにゃっと笑う。