Genesi 3 (ページ9)

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言付けされた事は、全部話せた。
でも結果として、翔太くんの地雷を踏み抜いた。
なんか、情けない。

深｢ラウちゃん、ココア？紅茶？｣
阿｢ラウちゃんはやばいでしょ。｣
向｢ふっかさん！俺はココア！｣
深｢お前は自分でいれろ。｣
向｢めめもいるって！｣
深｢はー？もう。ふっかさんスペシャルね！｣

リビングに戻ると、
ソファーで佐久間くんが丸まって寝ていた。
その背中を優しくぽんぽんしている阿部ちゃん。

戻るやいなや、飲み物の選択肢を与えられたけど
沈んだ気持ちはなかなか戻らない。
それどころかどんどん沈んでいく。

深｢ラウちゃん、ココアだよ。｣

目の前に置かれたマグカップから立ち上る湯気さえ
なんだか僕を馬鹿にしてるようだ。
この、湯気の分際で、この。
ムカつくからふーふーしてやった。

目｢あつっ｣
深｢めめ！ふーふーしなさい！ラウでもできてるよ！｣

多分僕を元気づけようとしてくれてるのはわかる。
ラウちゃんなんて初めて呼ばれたし。
めめも心配そうにちらちらこっちを伺ってるし、
康二くんだってそうだ。

｢…なんか、自分が情けないよ。｣

あの時あの言葉はかけるべきじゃなかったや。
信じてあげて、なんて。
翔太くんは、信じていたはずだ。
それでも不安なのは普通のことなのに
責め立ててしまった。
不甲斐なくて、涙が出そう。

目｢気にすんな。｣
向｢翔太くん、明日謝ってくると思うで。
あれは、なんていうかやな、本心っていうか。
なんやろ？阿部ちゃん。｣

不意に振られた阿部ちゃんの肩が跳ねる。
佐久間くんも少し身動ぎをしたから慌ててた。

阿｢びっくりした…。
翔太のはさぁ、パニックで出た言葉っていうか
本心は本心なんだけと、普段はもっとまろやか。｣

まろやか。
僕にはむずかしいかも。
本心なんだろうなってのは分かった。

｢翔太くん、怖かった。｣
岩｢いやぁ、暴れたね。｣

掃除を終えたのか、話に加わった岩本くんの前に
自動的にココアが差し出されると
美味しそうに飲んで、あちっと呟いてた。

｢いつもなの？｣
岩｢うーん、貫通までの怪我は初めてだから
今日が過去一大暴れかな。｣

よかった。
死のうとするのが毎回は、
少し辛いなって思っちゃったから。
よくないんだけど……。

深｢なべ？なにしたの？｣

これは話していいのかな。
本人の名誉のためにも黙っていた方がいいのかな。