86、終わりの予感 ページ36
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「泉さん、出ていくの？？」
「え、だって、全員の傷を治したらすぐにここから出ていく約束なので…」
「…あー、そういう話だったっけか。」
薬研くんをはじめ3人ともが微妙な顔をする。
「何か不都合が…？」
「そういう訳では…いや、まぁ…主のいない本丸など政府が放っておくわけが無いので、泉殿が居なくなってしまったらまた新しい主が送られてくるのでしょうが…」
「泉以外の奴が次の主になるっていうのが想像つかなかったんだ。
あんたは俺っち達に良くしてくれてる。
あんたがそのまま主になってくれるのかなーなんて勝手に思ってたんだよ。」
そんな風に思っている刀剣男士が居たなんて…。
でも「人間なんか要らない」と言い放っていた当初に比べれば新たな人間が本丸に派遣される想像が出来るようになっただけ進歩だろうか。
今は目の前にいる人間が私だけだから、私が主になるという風に思うだろうけど、私が居なくなって新たな人間が来たらその人を中心に彼らの時間は流れていくことだろう。
そろそろ潮時かな
人知れずそんなことを思った。
「あ、いっけない！朝餉の用意の途中だった！」
「歌仙殿一人にやらせてしまって申し訳ないね。すぐに戻ろうか。」
信濃くん、一期一振さんが立ち上がった。
「いち兄、信濃、先行っててくれ。
俺っちもすぐ行くから。」
そして薬研くんが一人、私の前に残った。
「泉、頼みがある。
俺っちの兄弟達を手入れしてやってくれないか？
…元気に見えるけど、度重なる怪我で痛みの感覚が鈍ってるだけなんだ。」
感覚が麻痺するほどの度重なる痛み…
「分かった。準備しておくね。」
「助かる。」
短く言葉を交わした後、薬研くんはふっと笑った。
「泉はほんとに何の見返りもなしに手入れしてくれるんだな。」
「見返り？」
「あぁ。前の主は手入れして欲しかったらそれにかかる資材の倍以上をもってこいとか、それが出来ないなら夜伽で喜ばせろとかいろいろ言ってきたんだ。」
「夜伽って…」
「まぁ要は、体を差し出せってことさ。
俺っち達にとっては苦痛でしか無かった。」
ひゅっ、と息が詰まった。
そんな私を見て薬研くんはまた笑う。
「…あんたともっと早く出会いたかったぜ。」
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紫水(プロフ) - ルナさん» うわぁほんとだ。コメントありがとうございます！修正します！ (2019年8月2日 10時) (
レス) id: aa0c16ca22 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - コメントすみません！沖田君は、一番組組長だと思います！ (2019年7月25日 9時) (レス) id: 3371ec9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫水 | 作成日時：2019年6月8日 8時
