72、聞いてない ページ22
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頼って欲しかったんだ
清光くんの言葉がぐるぐると頭を回る。
髪を切ろうが男物の服を着ようが、私は女だ。
それは変わりようのない事実。
そして、彼らを傷付けたのが女の人だったというのもまた変えようの無い事実。
私では、ここの人達は信じてくれないと思っていた。
「…そ、そんな顔しないで!
俺だって、主と同じ人間の泉ちゃんにこんなこと思うなんて吃驚してるよ。」
こんな風に思ってくれる子がいたなんて…
胸の奥から指先まで広がる温かさ。
嬉しい、なんて安易な言葉では表せない。
「…ありがとう。」
滲み出るように小さく発した声は彼に届いたかな。
私をじっと見据えていた清光くんはそんな私の顔を見るなりふっと視線を逸らしてしまった。
「……そんな可愛い顔出来るなんて聞いてない。」
「え、なに?」
「なんでもない!
と、とにかく安定にもやってあげてたあれ、他の三振りにもやってあげてよ。」
あれ?霊力を流してあげたやつのことかな?
「うん、分かった。」
陸奥守さんの手を取って祈る。
優しく豪胆で譲れない信念を心にちゃんと持っている、人としてとても魅力的な刀剣男士。
どうか彼の傷が癒えますように
信念をもって真っ直ぐ生きる彼の進む先に、明るい未来がありますように
お兄さんの方の刀。
陸奥守さんは確か、髭切と呼んでいたっけ。元来おおらかなのであろう髭切さんは、目を開けている間中ずっと穏やかだった。
そして、自分の傷の痛みに耐えながら『弟を助けてくれ』といったんだ。
名前は忘れてたけど。
どうか彼が痛みから解放されますように
おおらかなでなんだかんだ弟想いの彼が、これからもずっとおおらかでいられますように
そして、一番傷が深かった弟の膝丸さん。
兄の髭切さんを庇ってこんなに深い傷を負ったのだ。
どうか彼の苦しみが癒されますように
彼が髭切さんや他のみんなと一緒に今まで苦しんだ分も幸せになれますように
「泉ちゃんの霊力はいつ見ても優しいね。」
「え、そ、そうかな?」
霊力の善し悪しは正直分からない。
というか自分としては気持ちを込めているだけで、霊力がほんとに出ているかも体感できてない。
でも、私の心が少しでも伝わっているのだとしたら…
「…嬉しい。」
この時私は知らなかった。
満たされたこの感情が、一日と持たずに叩き壊されるということを。
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紫水(プロフ) - ルナさん» うわぁほんとだ。コメントありがとうございます!修正します! (2019年8月2日 10時) (レス) id: aa0c16ca22 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - コメントすみません!沖田君は、一番組組長だと思います! (2019年7月25日 9時) (レス) id: 3371ec9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫水 | 作成日時:2019年6月8日 8時