71、俺を呼んでよ！！ ページ21
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「貴方を手入れ部屋まで運びます。
どうか気を強くもって。」
聞こえているか分からないけど、声をかけてから彼を背負う準備をする。
研修時代に習った意識のない人の搬送法がこんな所で役に立つなんて…真面目に練習しておいて良かった。
小柄な私と大柄な彼。
ふらつきながらも何とか背負った。
お、重い…でも！！
「動けない…訳じゃない！！」
一歩一歩進む。
ゆっくりとした足取りだけど、確実に。
「大丈夫…大丈夫…」
彼に声をかけながら、半分自分に言い聞かせながら歩く。
半分ほど進んだところで既に腕や足が震え出した。
…絶対落とすものか！！！
気合を入れ直して進む。
全身に力が入っているのがわかる。
絶対顔真っ赤だ。
「泉ちゃん！！」
正面から駆けてきたのは清光くん。
私の横に回ると両腕で支えてくれた。
清光くんのおかげで幾分楽になったので、そのまま手入れ部屋に駆け込む。
弟さんを慎重に寝かせると力が抜けて、畳にへたりこんだ。
私も清光くんも肩で息をしている。
すると先に回復した清光くんが私に詰め寄った。
「大の男をそんなか弱い泉ちゃんが背負って歩くとか信じらんない！何考えてんの！！」
「だって…陸奥守さんは怪我してたし、一刻を争うと思ったから…」
「だからって泉ちゃんがやることは無かったでしょ！膝丸共々倒れてたらどうするつもりだったの！！」
うっ…と言葉に詰まる。
その可能性はなくも無かった。でも、あの状態では私が運ぶ以外に方法は無かったはずだ。
「じゃあ他にどうすれば…」
「そんなの決まってる！」
清光くんがガッと私の肩を掴んだ。
「俺を呼んでよ！！」
ハッとした。
見開いた目を清光くんの赤い瞳が捉えて離してくれない。
「和泉守兼定、分かる？あいつも言ってたよ。
『泉は無茶が過ぎる』って。
俺達は助けてもらった立場だけど、泉ちゃん見てると心配になるんだよ。」
「そんな…」
助けたい相手に心配されるなんて…いざというときに信頼してもらえないじゃないか。
「ごめん…私が不甲斐ないばっかりに…」
「だから違うって！！」
むにゅっ
肩に置かれていた手はそのまま私の頬を掴んだ。
ぐいぐい左右に引っ張られる。
「い、いひゃい…」
「別に責めてるわけじゃないけど、ただ、俺を頼って欲しかった。俺ではどうにもならないことだってあるけど、それでも頼って欲しかったんだ。」
「…！！」
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紫水(プロフ) - ルナさん» うわぁほんとだ。コメントありがとうございます！修正します！ (2019年8月2日 10時) (
レス) id: aa0c16ca22 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - コメントすみません！沖田君は、一番組組長だと思います！ (2019年7月25日 9時) (レス) id: 3371ec9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫水 | 作成日時：2019年6月8日 8時
