67、安定 ページ17
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「ちょっと、式ばっか可愛がって僕を放置しないでよね。」
布団の中から安定くんが拗ねたようにこっちを見ている。
「ごめんごめん。」
そういって頭を撫でると満足気に再び目を閉じた。
「さてと、手入れを…っ！」
手入れをしようと刀を抜いて、目を見張った。
所々が欠けて、傷だらけになっていたのだ。
あの暗い部屋に閉じ込められていなかった刀達の多くは戦場へ駆り出されていた。
ヒロくん然り、安定くん然り、無傷で居られる訳が無い。
よく良く考えれば分かる事だった。
無理をしていたのだろうか。
私や清光くんに心配をかけないように、無理して笑っていたのだろうか。
静かに寝入った安定くんの顔は、心做しか青白く見えた。
つややかな前髪をさらさらと撫でる。
「今まで辛かったね。よく、頑張ったね。」
早く、手入れをしてあげよう。
そう気持ちを新たにすると式神さん達が何やら持ってきた。
薄くて白い和紙、白い布、ふわふわした何かの付いた棒、何かが入った漆塗りの小物入れ(蓋を開けると白っぽい粉が入ってた)などなど小さな体でいろいろと運んできた。
手ぶらのふたりが私に向けて手を出している。
刀を渡してってこと？
でも抜き身のままじゃ危ないんじゃ…あ、そのままでいいのね？
恐る恐る渡すと、テキパキと刀を磨き始めた。
すごい手際の良さだ。
なんかもう、すごいわ…。
素人丸出しの私が下手に手を出すより良いだろうな。
私は私なりに、彼にしてあげられることをしよう。
刀の方は任せて私は寝ている安定くんに近寄った。
安定くんの左手を両手で包む。
掌から温かい流れが安定くんへ入っていくようにイメージしながら、ゆっくりと霊力を込める。
優しい安定くんにこの上ない幸せが訪れますように
そしてその幸せが当たり前となっていきますように
私がいなくなったあともずっとずっと、清光くんと、ここの皆と笑いあって生きていけますように
心一杯の愛をこめた。
どうか、安定くんに伝わりますように。
「…安定さぁ、俺の前だと意地張って全然辛そうなとこ見せなかったんだ。
俺よりずっと辛かったはずなのに…。」
眠る安定くんを見ながら清光くんが呟く。
「誰が誰より辛い、とかそういうのはないと思うの。」
「え？」
「皆辛かったんだよ。安定くんも、清光くんもね。
よく頑張ったね。」
煌めく赤い瞳に涙の漣が起こる。
静かに流れた一筋の涙を指ですくった。
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紫水(プロフ) - ルナさん» うわぁほんとだ。コメントありがとうございます！修正します！ (2019年8月2日 10時) (
レス) id: aa0c16ca22 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - コメントすみません！沖田君は、一番組組長だと思います！ (2019年7月25日 9時) (レス) id: 3371ec9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫水 | 作成日時：2019年6月8日 8時
