【刀剣乱舞】放っておけないので (ページ49)

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49、味見ページ49

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燭台切光忠side

「こんのすけくん本当に昨日のうちにこんだけの食材届けてくれたんだ…流石出来る狐だ…。」

積まれた食材は明らかに一人分ではなくて、

『ここの皆さんが美味しいご飯をお腹いっぱい食べられますように』

その言葉が嘘では無いと分かった。

「五虎退くん、まずは卵割るの手伝ってくれる？」
「は、はい！」

「一期一振さん、ご飯炊くのお願いしていいですか？」
「分かりました。」

「…さーて、私はお味噌汁でも作ろっかなぁ。」

葉野菜の切れる音、火のはぜる音、菜箸の音、そして笑い声…軽快な料理の音が響く。

泉ちゃんは時折五虎退くんを気遣いながら料理を進めている。自分で全部やった方が早いだろうに、どの工程も五虎退くんと一緒に進めていた。

「ふふっ。料理する人の特権、つまみ食いだよ。」

五虎退くんの口に出来たての卵焼きを一つ突っ込んで笑い合っている。

「お兄ちゃんにも食べさせてきてあげて？」
「は、はい！」

小さな皿に湯気の立ちのぼる卵焼きをひとつ乗せて兄の元へかけていった。
どうやらさっきやられたことを兄にもやったらしい。

「微笑ましいですねー。」
「えっ…あぁ、うん。」

泉ちゃんは僕に笑いかけて鍋の方へ戻っていった。

しばらくして料理の匂いが漂ってきた。
味見をした泉ちゃんの目が細まる。

「五虎退くん、ちょっと味見してみない？」

味噌汁の入った小皿を受け取った五虎退くんは恐る恐る口をつける。

「おいしい…と思います。」
「よかったぁ！」

すると今度はその小皿を持って、僕の所へ来た。

「ずっと見守っていてくださってありがとうございました。良かったら少し味見してみませんか？」

おずおずと差し出された小皿を受け取る。

どうしようか…

味覚が消えてしまった僕に味見なんて出来るはずがない。

(なんで受け取っちゃったんだろうな)

でもまぁ、美味しいって言っておけばいいだろう。
そう思って口に含む。

「……っ！！」
「…光忠さん？」

「…っあぁ、おい…しいよ…」

五虎退くんと泉ちゃんが顔を見合わせて微笑む。
その後二人して仕上げの盛りつけに取り掛かったようだった。

「光忠殿、どうしましたか？なんとも言い難い顔をしていましたが、まさか先程の汁に何か…？」

「…味が……したんだ…」