【刀剣乱舞】放っておけないので (ページ47)

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47、望みをページ47

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五虎退side

「えーっと、五虎退くんのお兄さん？」

「…粟田口が長兄、一期一振です。
先ずは、弟達を手入れして頂いた事、心より御礼申し上げます。」

「いえいえそんな、ご丁寧にどうも…。」

頭を下げるいち兄よりも小さくなって泉さんがペコペコ頭を下げる。

するといち兄の様子が変わった。

「この御恩をお返しします。望みを仰ってくだされば、私はその通りに動きましょう。」
「い、いち兄…！」

いち兄は何を考えてるんだろう。
そんなこと言ったらどうなるか、分からないはずないのに…

「…見返りを求めてるわけじゃない、って言っても信じてもらえないのね。」

困ったように笑った泉さん。
でもなんだか寂しそうにも見えた。

その泉さんを思い詰めた表情でいち兄が見守る。

「じゃあ、こうしよう。
これから五虎退くんとご飯を作るから、お兄さんも手伝ってください。それが私の望みです。」

明らかに今決めた望み。
いち兄もそれがわかったみたいでなにか言おうと口を開いた。

「五虎退くんもいいよね？」
「えっあっはい！」
「というわけだからよろしくお願いします。」

「…分かりました。」

とにかく着替えてからもう一度集まろうということになって僕達は離れから立ち去る。

道中いち兄はずっと静かだった。
何を考えてるかわからなかったけど、いつもよりずっと優しく僕の頭を撫でたからきっと…

(僕達のこと考えてるんだろうな)

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燭台切光忠side

相も変わらずこんな時間に目覚め、厨まで来てしまった自分に嫌気がさす。

主はもう居なくなった。

主の為だけの朝餉を作る必要は無くなったというのに。

「光忠殿…ですか？」
「一期くん？
どうしたんだい、こんな時間に厨…に…」

厨への珍客は一期くんだけではなかった。
粟田口派の弟の五虎退くん、そして…

「あなたは…」

人間……

「こうしてお話するのは初めてですね。泉といいます、よろしくお願いします。」

「僕は燭台切光忠。君は何しにここに来たんだい？
…悪いけど僕はもう料理はしないよ。

少なくとも人間の為には作るつもりは無い。」

食事を抜けば人は死ぬ。

強大な力を持っていたあの主ですら、食べなければ死ぬ。

だから僕は生かされた。

仲間達を傷付けるあの人を生かすために僕は生かされていたんだ。