【刀剣乱舞】放っておけないので (ページ45)

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45、あの時ページ45

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五虎退side

(…あっ……と、虎くんが…)

そうだ、あの時…。

主様の手に虎くんが噛み付いたから、主様は怒って虎くん達を蹴り飛ばしたんだ。

主様を止めようとした僕も蹴られて、痛くて…。

思い出したら体が震え出した。
足が…動かない。

虎くん達を…守らなきゃ…でも……怖いよ…

すると女の人が立ち上がった。

怖いのに、目が離せない。

お願い、蹴らないで…虎くんをいじめないで…

女の人はふわっと笑った。

「怖がらせちゃったね、ごめんね。…ちょっと待っててくれるかな。」

離れに戻った女の人は、平らなお椀と牛乳を持ってきた。
お椀に牛乳を注ぐと虎くん達の前に差し出す。

「ほんとに待っててくれた…！
はい、仲直りしよ？」

警戒していた虎くん達も恐る恐る近づいて牛乳を飲み始めた。
女の人はそれをやっぱりふわふわした顔で見つめてる。

この人…噛まれても蹴ったりしなかった…。

「あれ？ひょっとしてこの子達の飼い主さん？」
「ひっ！」

気が抜けて草陰から見えてたみたい。
慌てて草陰に飛び込んだ。

くいっくいっ

寝巻きの裾を引っ張られた。
虎くんだ。

ぐいぐい

「えっちょっと、虎くん…」
「ふふっ。」

「はっ！！」

虎くん達に引っ張りだされて、僕はまた女の人と顔を合わせてしまった。

「あっ……あ…」
「そんなに怖がらないで、何もしないから。」

よく見たら女の人も寝巻きのままだ。
僕に手を広げて無抵抗を見せた。

「私は泉と言います。あなたのお名前は？」
「…ぼ、僕は…五虎退です。」
「そっか、五虎退くんかー。五虎退くんはこの子達の飼い主さんなの？」
「虎くん達は…僕のお友達で…だから飼ってるわけではない…です。」
「虎！？この子達虎だったの！？…それは痛いわけだよ。」

泉さんはさっき虎くんが噛んだところをさすっている。

「あっあの！」

「ん？あー、気にしなくていいからね！急に手を出した私が悪いんだし…」

「ごめんなさい！！虎くんも悪気があった訳じゃないんです！

罰なら代わりに、ぼ、僕が受けます！！」

勢いよく頭を下げた。
小さく溜息が聞こえてくる。

「頭を上げてよ、五虎退くん。」

フルフルと頭を振る。

下げた視界に足が写った、と思ったら柔らかい手に両頬を挟まれて持ち上げられた。