【刀剣乱舞】放っておけないので (ページ42)

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42、きっとページ42

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力のこもったヒロくんの手は少し震えているように感じた。

自惚れてもいいだろうか。

この子は私を必要としてくれていると。

首に回していた手を頭に伸ばす。
優しく優しく金色の髪を撫でた。

「…っ！」

「この世に絶対なんて無いの。だからきっと、いつかまたどこかで会えるよ。」

「………あぁ。」

それっきりどちらも何も言わないまま、夜の帳が降りた廊下を進む。
街灯の光のない夜空は大きな月と幾千もの星々の瞬きでとても綺麗だった。

「…離れは他と比べたらまだ使える方だと思う。」
「わかった。ありがとう。」

離れと呼ばれる広間から少し離れた建物までヒロくんは連れてきてくれた。

私を下ろしたヒロくんはそのまま動きを止めた。

「………なぁ」
「ん？」
「さっきの…いや、なんでもない。」

何が言いたかったんだろう。
まぁ、いいか。多くは聞くまい。

「自分では分からないかもしれないけど、いろいろあったからヒロくん疲れてると思う。ゆっくり休んでね。」
「あぁ。…あんたもな。」

私なんかよりずっと疲れているはずなのに…。
ヒロくんは本当に優しい子だ。

「じゃあ、おやすみ。」
「…おやすみ。」

遠くなるヒロくんの背中を見送って、静かに扉を閉めた。

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山姥切国広side

「さっきの…いや、なんでもない。」

踏み込んでいいものなのか、躊躇われた。

『ただ過ぎていく時に自分を見失ったり追い詰められたりすることもあるんですよ。』

伏し目がちに呟いた姿が脳裏に浮かぶ。

あの人の目は、孤独を知る人の目だった。

出会ってからのあの人はいつも笑っていた。
母のように優しく、時には幼子のように無邪気に。

血生臭くて痛みと苦しみに苛まれる日々の中に突然向けられたあの笑顔が信じられなくて、最初は随分と警戒したものだ。

今では、心地よくて堪らない。

他の刀剣達があの人を信じられない理由、きっと痛めつけられた精神が危険だと警笛を鳴らすのだろう。

それほどにあの人の傍は心地いい。

でも、それも終わりがあるのだな…

あの人は帰ってしまう…

あの笑顔を向けられることは…もう無くなるのか…

それを認めたくなくて、強引に広間から連れ出してしまった。

『きっとまたどこかで会えるよ。』

違うんだ。
『きっと』なんて曖昧な言葉じゃ足りない。

あの人の刀になりたい