【刀剣乱舞】放っておけないので (ページ41)

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41、強いて言うならページ41

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あの日々を思い出しながら言葉を綴る。

同世代からの冷たい目、何も知らない大人達の心無い言葉に傷付いた。

時が経てば経つほど追い詰められた。

まとわりついて離れない過ぎた日の苦しみに、一人震えていた。

「でも、貴方達は一人じゃない。」

正面に座る三日月さんの目が大きく見開かれた。

瞳の中の月には微笑んだ顔の私が映る。

「心を許した兄弟や仲間と共に助け合って、慈しみあって過ごす時間はきっと心の傷も癒してくれると思います。
だから決めました。

体の傷だけは、どうか治させてください。
それが終わったら、すぐに出ていきます。」

誰も何も言わない。

傷の手入れをされるのも嫌だったのだろうか。
いや、でもこれは譲る気ないからね！

「…俺達は恩を仇で返そうとしたんだぞ？それなのに、そんな奴のことをどうしてそこまで思いやれる？」

どうして…か。

「強いて言うのであれば、私自身も皆さんと同じように苦しんだことがあったからかな。放っておけないんです。」

三日月さんの刀が力なく下がっていく。

私は小さく息を吐いた。

なんだかやっと楽に息ができるような気がする。
やっぱり首に刀を突きつけられっぱなしなのは怖いものだ。

「じゃあ、手入れだけさせてくださいね。」

ぐいっ

「うわっ！」

いきなり後ろに引かれて体勢を崩すと、ここ数日で見慣れた白い布が視界に入った。

「…手入れは明日からだ。」

言葉少なにそう告げるとヒロくんは私を抱え上げた。

「えっ、ちょっ、ヒロくん！？」
「今この本丸に重症の奴は居ない。明日でも問題無い。」
「で、でも…」

抱えられたまま三日月さんの方を見ようと体を捻る。
でもそれを遮るようにヒロくんは踵を返し、広間から出てしまった。

体の中が空っぽな感じが酷くて手入れが出来る状態かと言われると微妙だ。
ヒロくんの行動は正直有難かった。

だけど仲間を助けて欲しいとあんなに願っていたヒロくんが手入れを後回しにさせるなんて。

そっと顔色を伺ってみる。

それに気付いたヒロくんはふいっと顔を逸らした。

「…出ていくのか。」

聞こえるか聞こえないか、小さな声でヒロくんが呟いた。

「うん、ごめんね。本当は最後まで力になりたかったんだけど…。」

「あんたが決めたなら、止めない。」

長い前髪が顔を覆って表情はよく見えない。
でも、言葉とは裏腹に私を支える手にぎゅっと力が入ったのが分かった。