【刀剣乱舞】放っておけないので (ページ39)

今日:35 hit、昨日:0 hit、合計:69,299 hit

39、迎合ページ39

・
・

「…嫌じゃないんだけど…お、お姫様抱っことか…その…恥ずかしいから…なるべく意識しないようにしようと思って…」

「……そうか。」

ヒロくんがふいっと顔を背ける。
でもこの至近距離では真っ赤な顔が丸見えだった。

こ、これはこれで気まずいぞ。

「誰かいると思ったら、泉さん起きたんだね。」
「堀川くん！」

襖を開けて、堀川くんがぴょこっと顔を出した。
堀川くんが救世主に見えるよォ…

「そんなに真っ赤になるんだったらやめときゃいいのに。」
「な、なってない！」
「ハイハイ。」

「っと、そうだ！泉さん、元気になったならちょっと来てくれる？兼さんが皆にいろいろ話してたんだけど…ちょっと荒れててさ。」
「もちろん。」

「ありがとう！」

じゃあ入ってきて、と堀川くんが襖を開けた。
ヒロくんに降ろしてもらって自分の足で敷居を跨ぐ。

途端、背中に冷たい汗が流れた。

息が詰まるような緊張感。
思考が止まるほどの威圧感。

「紹介するよ、この人が泉さん。」

堀川くんの声にふと我に返る。

目の前にいるのは敵か？いや違う。
これから救うべき相手のはずだ。

私が怖がってどうする。

呑まれるな、背筋を伸ばせ。

「泉と言います。どうぞよろしく。」

「ほう、呑まれなんだか。」

声を上げたのは一番手前に座っていた細身の男の人。
私を視界に捉えて薄く笑った。

「俺は三日月宗近という。立ち話もなんだ、そこに座れ。」

促されるままに座る。

すると、待ち構えていたように三日月さんの刀が首に突きつけられた。

「三日月！何を…」
「動くなよ、山姥切、堀川、和泉守。」

さて、と三日月さんは私を見据えた。

「先ずは目的はなんであれ審神者を退けたことと重症の刀剣達を手入れしたことは例を言おう。」
「いえ…っ！」

「あぁ、口を開かずとも良い。下手に言霊で縛られてもたまらんからな。」

より一層喉元に近づいた切先によって、言葉は遮られた。

「それで、だ。恩人であるとはいえ俺達は人間を信用する気は無い。女であれば尚のことだ。

恩を仇で返すような真似をして悪いが、即刻ここから立ち去ってはもらえんか？

立ち去ってくれるのならばお主に一切手出しはしないと約束しよう。」

どうだ、と三日月さんが首を傾げる。

こんなに優しい口調をしておいて言っていることは要するに、

出ていけという事だ。