【刀剣乱舞】放っておけないので (ページ36)

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36、幻のようなページ36

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三日月宗近side

「…皆、気を抜くな。」
「は…「いち兄！！！」」

襖が大きく開き、転がり出てきたのは粟田口の短刀達。
次々に兄である一期一振の元に駆け寄って行った。

「…前田…五虎退…秋田…！！」

一期一振が力無く膝をつく。

自身に掛けていた手を大きく広げると、弟達を腕いっぱいに抱きしめた。

「いち兄ぃー！」
「ご無事でっ…何よりです…いち兄…！」

「お前達こそ…よく無事で…ぅぅっ！！」

今まで一度も泣かなかった一期一振が、泣いた。

粟田口の短刀だけではない。
主に閉じ込められていた刀達が皆出てきていた。

「あなや…これは幻か？」
「幻じゃないぜ。」

その声に振り返る。

真白が目に焼き付いた。

「鶴…？」
「あぁ。どうだ、驚いたか？

…ははっ、なんて顔してるんだ。」

驚いたなどというものでは無い。
目の前にいるのが本当に鶴なのか、にわかには信じ難い。
鶴は主に痛め付けられて重症だったはずだ。

あの時、俺を庇って…。

もしやこの鶴は人間が作り出したまやかしではないか。
我らは既に術中に嵌っているのではなかろうか。

でも…構わない。

仮にまやかしだったとしても、これで俺が壊されるのだとしても。

「かように幸福なまやかしになら折られても…」

「おいおい、まだ信じてないのか。」

鶴丸はそう言って俺の頬を引っ張った。

引かれた頬は痛む。
そして鶴の手は確かに温かった。

「……本当に鶴なのだな。」
「だから初めからそう言っているだろう。
あの日のことは謝るなよ？俺も後悔してないしな！」

ははは、先を越されてしまったか。

「そうか…では、謝らぬ。但し二度とするなよ。」

さぁそれはどうかな、と鶴は肩をすくめる。

仕草も何もかもが記憶の中の鶴丸国永そのままで、もう疑いは消えていた。

「鶴よ、これは一体どういうことだ。主の気配は感じぬ代わりに別の人間がいるようだが、何もされていないのか？」

「あー、どうしてこうなってるのかは正直俺にも分からん。ただその人間に何かされたかと言われたら…まぁされたな。」
「何！？」

「あーもう鶴丸さん、誤解招くような言い方しないで。」

奥から出てきたのは堀川国広。

「僕らを手入れしてくれたんですよ、その人間が。」

確かに鶴丸も堀川も傷一つない。

だが、人間がそれをやったというのが今一つ信じられなかった。