【刀剣乱舞】放っておけないので (ページ30)

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30、惨状ページ30

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やっぱりな、とヒロくん。

「でも助けを求める人が目の前にいて、ついて行けば助けられる人がその先にいるってことは分かるよ。」

ヒロくんの目が丸く見開かれる。
そして仕方ないなというように小さく息を吐いた。

「あんたは全く…。

さっき刃を突き付けてきたやつを次の瞬間信用するのはどうかと思うぞ。」

「心配してくれてありがとね。」

これは持論だけど、自分を信じてくれている人は何より信用に値すると思う。

つまり、信じて欲しいならまず自分からだ。

そうこうしているうちに着いたのは何だか薄暗い小部屋だ。

「ここだよ。」

何だか良くない気配がする。
でも、ここで足踏みしている訳にはいかない。

意を決して襖に手をかけて一気に引いた。

静電気みたいなのがパチパチと散って、襖が大きく開く。

途端、強烈な血の匂いが顔に吹き付けた。

「…っ！」

言葉が出なかった。

そこにいたのは大人から子供まで沢山の人達。

その誰もがどこかしらから血を流しており、衰弱していた。

「…和泉守…堀川…山姥切…どうしてここに…？」

額から血を流した黒髪の青年が呟いた。

「あぁ俺だ、助けに来た！主は居なくなったんだ！…っておい、清光！しっかりしろ！」

主は居なくなった。

その言葉を聞いた瞬間、黒髪の彼が崩れ落ちた。

兼さんが慌てて抱き留める。

「ここに居るのも全員、刀剣男士なんだよね？」
「あぁ。」
「泉さんお願い…」

「その前に私のお願いを聞いて！」

「！！」
「堀川くん、ヒロくん、兼さん！ここにいるみんなの刀を預かってきて！片っ端から全員手入れさせて欲しい！」

私が動くのもいいけど、きっとそれよりも仲間の方が安心して渡せるだろう。
一刻を争うのだ。押し問答している時間も惜しい。

「お願いします！」

「任されました！」
「分かった。」
「ありがてぇ、頼むぜ！」

三者三様の返事をして駆け寄っていく。
兼さんが加州と呼ばれた子の刀を持ってきた。

「加州清光だ。泉、頼む。」
「はい！」

ここからきっと長くなる。
沢山の刀を手入れすることになる。

でも…

「大切なのは…愛情。」

一人だって見捨てない。疎かにしない。

抜き身の刀を掌で優しく包むと、一本一本丁寧に手入れをした。

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次の話までに時間が飛ぶので、ここまでにして次行きます。