【刀剣乱舞】放っておけないので (ページ29)

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29、苦しんだ分ページ29

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堀川くんは肩を震わせて俯いている。

やがてぽつぽつと声が聞こえた。

「…僕はいいんです、こんなの兼さんに比べたらどうってことない。

でもっ…僕のっ…僕のせいで兼さんが…」

「違う！お前のせいなんかじゃねぇ！
あの時俺がお前を守ってやれなかったから…」

堀川くんが人質にされて、兼さんは梓さんの言うことに従っていたと聞いた。

堀川くんは自分のせいで兼さんが梓さんの言いなりになっていたと思って責任を感じているんだろう。

兼さんも兼さんで、梓さんから堀川くんを守りきれなかったことを悔いているようだ。

私は堀川くんに触れていない方の手で兼さんの腕に触れる。

「兼さんも堀川くんも、どっちのせいでもないよ。」

「…っお前に何が…」

「分からない。だからこれは私の勝手な思い。

二人共十分苦しんだよ。
形は違えど傷付いて、それでも生きてここにいるんだ。

だからさ、これからの事を考えよう？

忘れろとは言わない。そう簡単に忘れられるものではないと思うし…。でも、これからは誰にも君達を傷付けさせないから。」

二人としっかりと向き合った。

「苦しんだ分も、幸せになって欲しい。」

私も力になるから。
傷付いた彼らの心の傷が、どうか一刻も早く癒えますように。

「…なんか、婚姻みてぇな台詞だな。」
「私も自分で言ってちょっと思った。」
「ぷっ！」

閉まらねぇな、と兼さんが笑う。
釣られて堀川くんも笑い始めた。

笑顔。

きっとこの笑顔はこれからの幸せの第一歩だ。

「堀川国広様！ご無事で何よりです！」
「こんのすけ！？生きてたの！」
「はい！」

こんのすけが出てこれた…結界が解けた…？

あごに手を当てて堀川くんは呟いた。

「そうか！結界が解けたってことは…」

「うん、短刀達も助けられるはずだよ！

泉さん、ちょっと助力を頼みたいんだけど…」
「任せて！」

そうと決まれば、と立ちあがる。

堀川くん、兼さんの後に続いて広間を出た。

歩き出した私の横にヒロくんが追いつく。
ヒロくんは少し体をかがめると囁いた。

「泉、話の内容分かってるか？」
「正直あんまり。」

ヒロくんの口から盛大な溜息が漏れた。

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山姥切国広くんはなんだかんだ言って面倒見のいいタイプだと思うんですよね。

1度心を許した相手には、ってとこですけども。