【刀剣乱舞】放っておけないので (ページ13)

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13、目覚めページ13

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(山姥切国広side)

目が覚めると見慣れない天井。

だが、そこが安心出来る場所であることを思い出した。

正確には、安心できる人の家、だろうか。

俺を手入れしたあの人間…。
はじめは警戒していたのに、途中から警戒するのも馬鹿らしくなった。

なんというか、人畜無害なやつだ。

でも、温かかった。

声も、手も、言葉も、食事も、霊力も、何もかもがだ。

特に霊力は特徴的だった。

人間の霊力の多くは『光』として感じるのだが、あの人は違う。
あの人間の霊力は、例えるならば『水』だ。

こんこんと湧く清らかな霊力を文字通り溢れるほど注ぎ込まれたのだ。
せせらぎすら聞こえてくるような心地好い霊力だった。

初めての感覚に戸惑った。
だが、不思議と安心した。

その時に分かったのだ。
「助かった」ということを。

ついでに、目の前のこの人間に助けられたのだということも。

それから俺は…泣いた。
幼子のように何度も何度も。

情けないことだが、お陰でひどく割り切った気持ちで今いられているというのも事実だ。

体を起こして隣を見遣る。
あいつは机に伏せて寝ていた。

「そんな所で、よく眠れる筈ないだろうに。」

手を伸ばすと簡単にその頬に手が届く。

そう言えば眠る前『ヒロくんの手が届くところにいるから』とか何とか言っていた気がする。

「本当に…手の届くところにいたのか。」

愚直なやつだ。
自然と笑みがこぼれる。

つんと頬をつついてやれば何やら身動ぎをする。
するとそのまま起きてしまった。

「どうしたの？ヒロくん。」

「あ、いや、起こすつもりはなかった。」

俺の様子を伺うように少し眺めると、何やら満足したようだった。

「もう起きる時間だったから大丈夫だよ。おはよう、ヒロくん。」
「お早う。」

朝など、明日など来なければいいといつも思っていた。

でも…。

おはようと言いあって、微笑みを受けて迎える朝はこんなに幸せなものなのか。

少々、心軽く起きることが出来た。

布団が床より少しだけ小高くなっているのを忘れて落ちそうになったことは、あの人には黙っておこう。

こんな日が、ずっと続けばいい。

柄にもなくそう願った。

そんな願いなど叶うはずもなかったというのに。

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主人公side以外を書いてみました。