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【第1章 : 4話 放っておけなくて】 ページ6

「―――徽章を盗んでった女の子だけど」

自己紹介も終わり、捜索を再開するも時間だけが過ぎていく。不意に何かを考えていたスバルが言葉を発した。


「きっとスリをやって生計立ててると思う。服装からして、いい暮らしが出来てないのは間違いない……当然だけど、そういう連中が住む場所があるはず」


「………」


「そうなると、治安の悪い場所、か?盗んだも んを金に換えるなってのはツテがねぇと厳しいだろうし……ってことで闇雲に探し回るよりは可能性は高いと思うんだけど……どったの?」

目を丸くするエミリアとAの様子に、首を傾げるスバル。


「ちょっと驚いてたの。スバルって、すごーく頭が回るのね」

『スバルの癖に、なかなかやるね。スバルの癖に』

感心するエミリアと、不満そうに応じるA。温度差の激しすぎる対応にスバルは額に手を当てた。

「北極と南極にいるみたいだ……やっぱり、サテラはAと違って天使だね――あだっ」

『……』

余計なことを口走るスバルに無言なAの拳が一発。容赦ない力にスバルは、よろめくのだった

そうして、表通りを歩くこと数十分。
Aの袖をふいに隣に立つエミリアが引いた。

「ねぇ、A。あの子、迷子になってる気がしない?」

呼ばれて、エミリアの送る視線の先を辿るA。遅れてスバルも、そちらを見る。
通りを挟んで向かい側の建物に立つ1人の少女。エミリアの見立て通りの状況らしかった。

「私、ちょっと行ってくる」

Aの返事を待たずに、駆け出すエミリア。
仕方ないな、とAもエミリアの後を追おうとした時、それを止める者がいた。

「ちょ、ちょっと待てよ。こういう場合は騎士であるAがサテラを止めるべきじゃねぇの?」

『いや、止めても聞かないよ。サテラ様は』

「聞かないって……ブツを盗んだ奴とは差が広がるばかりだぞ」

確かに、どう考えたってスバルの意見が正しい。今、こちらは切迫した事情で捜し物をしている最中なのだから。

だが、Aは知っている。
エミリアという少女が、どうしようもない程のお人好しであることを。
【サテラ】と、偽名を名乗ったことだって本当は――――。

『サテラ様は、困った人を放っておけない優しいお方だから。私も、あの方を放っておけないんだよ』

それだけ言うと、Aはスバルの元から離れて、主と少女の所へ。
後方には “仕方ねぇな“ と、言いつつAの背中を追うスバルの姿があった。

【第1章 : 5話 貴方のおかげで】→←【第1章 : 3話 言えない】



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玲紋。 - 面白いです!読んでいて楽しいです!先が気になります。更新、頑張ってくださいね! (2017年2月1日 19時) (レス) id: 717061f029 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - ラキさん» すみません…現実の生活と小説を書く事の両立が難しくなっていまして本当に申し訳ないです。迷惑をおかけしますが気長にお待ち下さい。 (2017年1月30日 21時) (レス) id: 050b98d021 (このIDを非表示/違反報告)
ラキ - 最近更新してませんねー (2017年1月29日 22時) (レス) id: e83b796b67 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - 飾華さん» 最高とまで言って下さり有難う御座いました!更新遅くなってすみません!なるべく出来るように頑張ります (2016年10月18日 22時) (レス) id: 050b98d021 (このIDを非表示/違反報告)
飾華 - もう最ッ高です!次の展開が楽しみすぎる (2016年10月18日 17時) (レス) id: 7cff2cbe6d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁風の夢 | 作成日時:2016年6月3日 21時

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