【第２章:２話 優しさに甘えて】 ページ13
『…先輩の手を煩わせるには…エミリア様の事は私だけで大丈夫だよ？』
「いや、次期女王になるかもしれない方が行方不明なんだ。手伝うよ」
捜索の手伝いを申し出た、ラインハルト。最初は遠慮したのだが、結果的に素直に受け入れた。
(誰にも等しく手を差し伸べる、そんな優しさが、先輩の良い所なんだろうなぁ)
チラリ、と視線を落とした。
自分とラインハルトの足は、ほぼ同じペースで地を蹴る。身長差が、かなりある為、歩くペースでさえ自分に合わせて貰っている。
――――先輩に気を使わせないくらい、身長が伸びる為には、毎日、牛乳を飲めば良いのかな。……なんて、簡単にはいかないだろうけど。
「A、何処に向かってるんだい？」
捜索を始め、Aの足取りに迷いが無いことを察したのか、そんな質問を口にする。
『ちょっと心当たりがあって』
―――エミリアを見つけ、スバルと出会った場所が、あの路地裏。ならば２人も、そこにいるのでは無いか。
これが、Aの予想。だが、さっき会えたのは、まぐれだ。この広い王都で、そんな簡単に見つかる訳ない。
そもそも、何処の路地裏か忘れてしまった。
だが、何とか見つかるだろう―――――勘で。
『あっ、すみません』
Aが咄嗟に謝罪の言葉を伝えると、相手は、軽く頭を下げて通り過ぎて行く。
照りつける太陽の下、王都には、商人や旅人、沢山の人々が行き交う。こうして、肩と肩がぶつかってしまうくらいに。
「確かに、通行人が増えてきたね……少し失礼するよ」
ラインハルトは、掬い上げるようにして、Aの手を握る。彼の、大きな男の人の手に包まれて、堪らずドキリとする。
『せ、先輩？その……手、が』
「人混みで、はぐれてしまったらいけないだろう？気を悪くしたなら、すまない」
『ぜ、全然！！少し、緊張するぐらいなので！大丈夫ですよ！はいっ』
――――――空回りしてしまった……。
言葉の端々は、たどたどしく、これでは自分が "手を繋ぐ事でさえ慣れてない"と言っているようなものだ。
ず―ん。項垂れるAを見て、ラインハルトは、目を見開いたが、やがて
「ふふっ。Aは、此くらいでは動揺しないと思ってたよ」
弾んだ声と共に、笑みが零れた。
久し振りが見た先輩の、笑顔でさえ心が揺さぶられる私。
"こういう事"に関しては、自分は不慣れなのだと実感してしまう。
(……だからこそ、あの "最優の騎士"には敵わない訳なんだけど)
【第２章:３話 路地裏の男達】→←【第２章:１話 消えた悪夢】
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玲紋。 - 面白いです！読んでいて楽しいです！先が気になります。更新、頑張ってくださいね！ (2017年2月1日 19時) (
レス) id: 717061f029 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - ラキさん» すみません…現実の生活と小説を書く事の両立が難しくなっていまして本当に申し訳ないです。迷惑をおかけしますが気長にお待ち下さい。 (2017年1月30日 21時) (レス) id: 050b98d021 (このIDを非表示/違反報告)
ラキ - 最近更新してませんねー (2017年1月29日 22時) (レス) id: e83b796b67 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - 飾華さん» 最高とまで言って下さり有難う御座いました！更新遅くなってすみません！なるべく出来るように頑張ります (2016年10月18日 22時) (レス) id: 050b98d021 (このIDを非表示/違反報告)
飾華 - もう最ッ高です！次の展開が楽しみすぎる (2016年10月18日 17時) (レス) id: 7cff2cbe6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁風の夢 | 作成日時：2016年6月3日 21時
