プロローグ ページ1
ルグニカ王国の剣である
近衛騎士団、詰所前にて。
1人の少女は手を高く上げ、伸びをしていた。
『ん〜王都久しぶり〜!』
軽く背を反り、瑠璃色の瞳に青く広がる空を映し出す。左にまとめてある若葉のような黄緑色のサイドテールが揺れた。
行き交う人々は同じ騎士の服装に帯刀しており
それは少女も同じ。長身であるが故にその姿は女騎士として絵になる程だった。
『でも、先輩達も非番なんて残念だなぁ。団長に挨拶がてら会えるかと思ったんだけど…』
「――おや、久しぶりだねA」
後方から鈴とした声がかかり少女―――Aは振り返る。その先には、太陽のように赤い頭髪の青年が立っていた。
すらりと長身で、黒色の私服に身を包んだ彼はAと同じ騎士の1人だ。
最も、彼は「剣聖」と呼ばれる程の騎士の中の1人。Aが尊敬している人であり、目的としている先輩だ。
『久しぶり!ラインハルト先輩。非番なのに詰所来るなんて仕事熱心だね。さすがっ』
尊敬する思いを示し、拍手をおくるAに彼――――ラインハルトは肩をすくめた。
「少し用事があっただけだよ。Aは団長に用件が?」
『まぁ、そんな所だね―っと、人を待たせているから、もう行くね』
思い出したように手を打って、駆け足で待ち合わせ場所へと向かう。去り際に手を振ると、名残惜しげなラインハルトの顔があった。
***
人混みをかき分け、待ち合わせとしていた八百屋に到着したA。そこには、目立つ桃色の頭髪が目に入った。黒を基調としたエプロンドレスに、頭にホワイトプリム。
この少女が待ち合わせしている人物________メイドのラムだ。
『ラム、お待たせ――あれ、エミリア様は?』
そこに、居る筈の主の姿が無いことに、首を傾げた。エミリアと共に居ないということは、まさか______?
過る嫌な予感。だが、珍しく焦りの色が交じっているラムの表情が、Aの直感を事実だと裏付けていた。
「A、エミリア様を知らない?姿がみえないのよ」
『えっ、一緒じゃないの?』
「Aは騎士でしょう?側を離れるなんて失格ね」
『ちょっ、私のせい!?』
責任転嫁するラムに思わず声を荒げた。それも、彼女だから許せるのだが。その辺の男ならば、Aの拳骨が炸裂しただろう。
『ラムがはぐれたんじゃん…私は、あっちを探してくる』
「ええ。分かったわ」
お互い反対方向にAとラムは駆け出した。
長い、長い一日が始まる____
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玲紋。 - 面白いです!読んでいて楽しいです!先が気になります。更新、頑張ってくださいね! (2017年2月1日 19時) (レス) id: 717061f029 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - ラキさん» すみません…現実の生活と小説を書く事の両立が難しくなっていまして本当に申し訳ないです。迷惑をおかけしますが気長にお待ち下さい。 (2017年1月30日 21時) (レス) id: 050b98d021 (このIDを非表示/違反報告)
ラキ - 最近更新してませんねー (2017年1月29日 22時) (レス) id: e83b796b67 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - 飾華さん» 最高とまで言って下さり有難う御座いました!更新遅くなってすみません!なるべく出来るように頑張ります (2016年10月18日 22時) (レス) id: 050b98d021 (このIDを非表示/違反報告)
飾華 - もう最ッ高です!次の展開が楽しみすぎる (2016年10月18日 17時) (レス) id: 7cff2cbe6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁風の夢 | 作成日時:2016年6月3日 21時