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――なんて。
この世の終わりってくらい泣いた昨日に続いて、今日も私の運勢は最悪みたいだ。
「……うわ…、うそ、」
返された化学基礎の中間テストは3割に満たない数字でテスト中の自分を恨んだ。
“赤点の人は放課後一人ずつプリント配るからー”なんて言葉にまんまと踊らされて、先生と話が出来るならとわざと落とした点数。
昨日までの私なら長く先生と一緒に居られる、って喜んでたはずなのにな。
…昨日の今日で、そんなモチベーションにはなれなくて。
「該当者はHR後に化学準備室までお願いします」
そう言っていつも通りチャイムとともに礼をして去ってく。
白衣を翻して歩く先生の後ろ姿を見詰めることしか出来なかった。
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「Aー 化学のプリント取りに行こー？」
「あ……うん」
「忘れてた？……憂鬱だよね。私もおんなじ。」
「ん、……だね(笑)」
忘れてないし、おんなじ憂鬱ではないよ。
……なんて言えるはずもなく。
HRが終わってすぐ声を掛けてくれたナナちゃんと話しながらスクールバッグを掴んだ。
一つ下の階にある化学準備室に辿り着かなければいいのにって思いながら、“難しかったらどうしよー！”なんて他愛もない話をして。
私は昨日のトラウマを鮮明に思い出してしまう“化学準備室”って文字を視界に入れないように視線を落とした。
「失礼しまーす」
コンコンとノックしたナナちゃんの手を掴んで止めたいくらい……入りたくないって気持ちでいっぱいで。
でも先生の顔を見れるのは嬉しくて。
…ぐらぐらと揺れる気持ちを奥の方に押し込む。
「…失礼します」
「お。いらっしゃい」
ふっと眼鏡越しに柔らかくなる目がやっぱり好きで堪らなくて、折角合った視線を逸らした。
胸が押し潰されるような痛みから目を背けているのに同じ空間に居るのが嬉しすぎる。
矛盾する心にズキンズキンと痛みが響いてく。
「課題のプリントです。来週末までに提出してください」
“分からなかったらここか職員室までどうぞ”と言われて、こくんと頷く。
プリントを差し出す先生の綺麗な指を見詰めながら、矛盾する心を押し殺していたら次の言葉を聞き逃してしまって。
「Aさんはどうしますか？」
――そう問われて訳もわからず“はい”と頷いていた。
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作者名：遊馬
| 作成日時：2020年10月15日 0時
