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「〜〜〜！！？？っ、」
「うは、顔真っ赤(笑)」
そんな威勢のいい言葉を言えるはずもなく…。
耳を押えて口をぱくぱくさせていると揶揄うような声が降ってくる。
良いおもちゃが見付かった、って顔。もうやだ。
「え、あ、っ」
「ほら、Aは優等生だから挨拶出来るだら？」
「な……っ！」
にっこりと口角を上げたまま“俺はおはよーって言ってんの。”と有無を言わさない態度をとる彼。
ん？と首を傾げて早くしろと合図する彼に、“お、はよう、ございます”と何とか挨拶するとパッと太陽みたい笑った。
「いーこ」
ポンと頭を撫でられて、周りからは黄色い声が上がる。
もう！もう！！
……そんな一撃必殺みたいな笑顔、向けないでよ！！
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そんな私の思いを神様は汲んでくれたのか…わからないけどタイミング良くチャイムがなって、5時間目が始まった。
日直の“気を付け―、礼ー”って言葉に合わせてお辞儀をする。
そのまま頬の赤みが引くまで下を向いていたら隣から視線が……。
「照れてんの？」
「…っ、違います、」
「素直じゃないなあ」
「知ってます」
授業中、始まってしまったコソコソ話。
またさっきみたいに機嫌を損ねてしまったら大変だから、小さい声で定型文を返す。
「そんなとこも好きだけどね」
彼の口から発せられた言葉に動揺して、バサッと大きな音を立てて教科書が落ちた。
――え、好き？
脳内で復唱して、体温がぐんと上がる。
「A？」
「俺拾ったげるー」
何事もなかったかのように彼が返事をして、机の上に教科書が戻ってくる。
流れ作業で彼の席に視線を移した先生の表情が歪んだ。
「柴田、お前の教科書はどうした」
「ないー Aに見してもらっていい？」
「…A、頼むわ」
はぁ、と溜息を吐いた先生がそう言うと、周りが“良いな〜”と色めき立つ。
机をくっつけてくる柴田くんをちらっと見て“ハイ”と返事をして。
私に肩を寄せた彼が低い声で囁いた。
「……揶揄い甲斐のあるとこがね。ダイスキ。」
にやーっとお決まりの悪い顔。
そんなブラックな笑顔に心臓が煩くなって。
どきどきが止まらない。
こうなっちゃってる時点で、もう。
――全ては彼の、手のうち。
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作者名：遊馬
| 作成日時：2020年10月15日 0時
