優しいあなたに

お出かけ ページ34

あれから舞台の再演も終わり、今度は舞台里見八犬伝の出演が控えているらしい。なんとそれにはあの山崎賢人くんも出演するとか。
それにしてもスケジュールびっちりなんだな…。

つくづく和田さんの人気ぶりが窺えた。

そんな頃…

「で、どこ行きたい？」

急に彼からメッセージが届いた。

「え？急にどうしたんですか？」

もしかして、誰かと間違えてる？

「え。覚えとんの俺だけ？笑
ツアーの時約束したやん！2人で出かけましょって」

あ、思い出した。私はなんて事を。大事な大事な約束を忘れるなんて…。

「あっごめんなさい！！！思い出しました…死んで詫びます…」

「何やそれ！死んだら出掛けられないやん！」

「それもそうですね。すみません…でも、和田さんお忙しいですよね…大丈夫なんですか？」

「治りはやっ！笑。俺も休みくらいきちんと貰っとるから！大丈夫！で、どこ行きたい？」

そうなんだ、ちょっと安心。そして２度めの問。…どこって言われてもなぁ…

「和田さんとなら、どこでもいいですよ」

うん、率直にどこでもいい。和田さんとなら。

「うわ〜それずっるい答えやわ〜！」

そんな答えに何がずるいんだろう？と思った。

「何がですか？」

「そんなんときめいてまうやろ！」

こんなことを言っているとき、和田さんは一体どんな顔をしているのだろう？と私は猛烈に気になった。もしかしてドキドキしてくれていたりするのかな。

「でもそれはなしっ！はいっ、どこか行きたい場所！ゆうてみ！」

うーん、行きたい場所か……あ、

「じゃあ、映画見ませんか？今やってる、○○ってやつ。気になってたんですよね」

今話題の原作が小説の映画だ。優華はこういうのに興味がないので、こんど１人で行こうと思っていたのだ。

「えっ！！それって東野○吾のやつやん！俺もめっちゃ気になってたん！え！好きなの？東野○吾」

文章から分かるくらい興奮してるなぁ…。

「はい、結構好きです。小説もそこそこ読みましたよ。大学の時とかに」

「おもろいよね！俺もめっちゃ小説読むのよ！」

「知ってます。取材とかの時に仰ってましたもんね」

「えっ、ようしっとんね！」

そりゃ知ってるよ。いっぱい調べたもん。だた私が読んでた小説が好きだったって言うのは偶然だけど…。

「じゃあ、なおさらそこにしましょう！」

「いいね！ほなそこに決まりってことで！」

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