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008号室 (GEN side) ページ9

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「いや事務所の正社員になってもらうって……。それはいくらなんでも無理じゃね?だって別に、」





__“ただのお隣さん”なだけだろ。




開口一番、コウヘイのなんでもない言葉がぐさりと胸に突き刺さる。

分かってはいたし、自分でももちろんそう理解していたつもりだけれどいざ、誰かにそう、言われてしまうと。





「……そう、なんだけどさ」

「……好きなの?その人のこと」

「……わかんねえ。でも、あのままじゃいつか壊れちゃいそうな気がすんだよ。この世界で生きてきて、そういう人、俺、何人も見てきて、」





同じだ、って思った。



でもたしかに違っていることがある。




それは、彼女はそういうことをただ好きで、好きでたまらなくてやっているんじゃないということ。

そうするしかない、と、もう既に諦めてしまっているかのように、俺の目には見えてしまうということ。




……だから。






「なんか、……なんかしなきゃ、ってすっげえ思ってんだよ」

「……でも俺は無理だと思う。ふつうに」

「あ〜だよなあ〜」




わかってるよ…、そんなこと、俺も。

安易な考えだってことも、俺だけが、突っ走ってるってことも。




冷たい机の上にぐでんとうつ伏せになってみるも、しかし新しいアイデアがぴょこんと浮かんでくるわけはない。






「その人の得意分野とかは?」

「……知らない」

「……今なんの仕事してるとか」

「……知らねえ」

「なんだそれ」





あー論外論外、と視界の端でコウヘイの右手が左右に揺れているのが見えた。






「もっと知ってからでいいじゃん。ただのお隣さんから、仲のいいお隣さんになってからでよくね?」

「……それじゃ遅い」

「……とりあえず、GENだけがそんなない頭ひねって考えるようなことじゃないから、それ。一旦ちょっと頭冷やせ」





ガチャンと扉が閉まる音だけが部屋に響いて、ふと、



「……いやあいつ、ない頭って言った」




なんて思い返してひとりでに呟いてみるも、まああながち間違ってはいないのかと、また同じく机に項垂れる。







……でもコウヘイ、いいこと言ったかも。







「なんでも頼んでください。今日は俺の奢りなんで」

「え、……どういう風の吹き回しで?」

「俺が誘ったんだから当たり前でしょうが」

「……まあでもそんなにお腹減ってないんですよねえ……」






だけ(、、)が、考えることじゃない、って言うんなら。








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ちわわ - 初めまして!もうめちゃくちゃ刺さりました…大好きすぎる作品です…!第2章のパスワードを教えていただいてもよろしいですか…? (2022年6月3日 2時) (レス) id: 8e9e78c35a (このIDを非表示/違反報告)
- 初めまして!とても素敵な作品ですね!続きが気になります!第2章のパスワードを教えていただけますか? (2021年3月26日 17時) (レス) id: ce4eaa6c55 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダマカロン(プロフ) - 第二章と片岡さんのお話のパスワードを教えてもらいたいです! (2020年10月10日 2時) (レス) id: 41c2841ae6 (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - はじめまして!素敵な作品で一気読みしちゃいました(TT)第2章も他の作品も是非読みたいです! (2020年3月6日 1時) (レス) id: 9a92e69ecf (このIDを非表示/違反報告)
- 好きです、でした、、汗 (2020年2月14日 1時) (レス) id: bbe11dd873 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨムヨム | 作成日時:2019年9月11日 12時

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