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023号室 ページ24

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「いやほんと、いいよ今日はもう」

「や、これだけ終わらせます。店長これいつもミスするんで」

「それは……申し訳ない……」





不甲斐ない。

楽しむために行ったライブではしゃぎすぎてそのすぐ後から体調をもれなく崩してしまうなんて。


いや多分、慣れないことはするもんじゃない、っていう誰かさんからの戒めを今受けているんだと思う。

そう思わないとやってられない。うん。


不幸中の幸いは『なんとか動けはする』ということだろうか。






「……あー」

「あーもうほらほら、もういいってAちゃん、」

「違います。普通に間違えました」

「……それはそれで珍しいから心配なんだけどなあ」

「……慣れないことはするもんじゃないですね」






そう反省する私に「楽しかったんだったらそんなこと言わないの」と言ってくれる店長はやっぱり優しい。







「まあとりあえず座ってやったら?いいよ、もうお客さん来ないだろうし」

「……すみません。お借りします」





そう言ってお言葉に甘えてパイプ椅子に深く腰掛けた瞬間、タイミングの良いか悪いか、ピンポーンとお客さんが来店する音。




「いらっしゃいませー」





反射的に立ち上がろうとするも店長に制されて、おとなしくまた座る。





「いらっしゃいませー、」





とりあえず声だけ出すも、ああ、これはガラガラすぎる。

喉が枯れてるのはまあただの叫びすぎなんだけど、それにしても数日で治ってくれなかったのが痛いところだ。




すると。






「……Aいるじゃん」

「……吉留さん、」

「なに、俺とおそろい?」






左手で鼻までしっかり上げたマスクを引っ張って、右手に持っているのは音楽雑誌のMUSICA。

目は、優しく細められている。





「Aちゃん知り合い?」

「隣なんです、僕。アパートの」

「あ、そうなんですね。……じゃあもう彼女、連れて帰ってもらってもいいですか?」

「ちょっ、店長、」

「そんなことでいいのなら。これ、お願いします」

「はーい」







……これは、帰らされるパターンだな。

それに、MUSICAは確かに今日発売日だった、なんてぼんやり頭の片隅で思い出しながら、なんとなくこうして吉留さんと顔を合わせて会えたことに安堵している自分に自分で気づいていて。






「体調悪いの?」

「……ちょっとだけ」

「嘘。だいぶ、でしょ」








ああ、私は吉留さんにそんなに会いたかったのか、なんて思った。







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lemon(プロフ) - 初めまして!とても素敵な作品でとても続きが気になります!第2章のパスワード教えていただきたいです! (5月7日 13時) (レス) id: 1bc68c94aa (このIDを非表示/違反報告)
ちわわ - 初めまして!もうめちゃくちゃ刺さりました…大好きすぎる作品です…!第2章のパスワードを教えていただいてもよろしいですか…? (2022年6月3日 2時) (レス) id: 8e9e78c35a (このIDを非表示/違反報告)
- 初めまして!とても素敵な作品ですね!続きが気になります!第2章のパスワードを教えていただけますか? (2021年3月26日 17時) (レス) id: ce4eaa6c55 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダマカロン(プロフ) - 第二章と片岡さんのお話のパスワードを教えてもらいたいです! (2020年10月10日 2時) (レス) id: 41c2841ae6 (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - はじめまして!素敵な作品で一気読みしちゃいました(TT)第2章も他の作品も是非読みたいです! (2020年3月6日 1時) (レス) id: 9a92e69ecf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨムヨム | 作成日時:2019年9月11日 12時

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