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001号室 ページ2

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YOSHIDOMEさん。
ヨシドメさん。
よしどめさん。
いや、よしどーめさんかもしれへんな。
え、そうなると日本人ちゃうくない?
やっぱりよしどめさんやろ。





「よしどめさん、」






隣に初めてかけられた表札を疲れた頭で見つめながら、でも苗字やとしたら珍しいな、なんてぼんやり考える。

そして、なにやら聞き覚えのあるような、見覚えはないが、既視感というか、不思議な、デジャヴのようなものを感じていた。






「……なわけないか」



こんな珍しい苗字、もし直に会っていたら忘れなどしない。

大家さんがウキウキと新しい入居者について話してくれたのはたぶんもう2週間くらい前だったっけな。

その時の記憶とごっちゃになっているだけなんだろう。




しかし未だ顔を合わせたことは一度も無い。


もしかするとあの恒例の、

『隣に引っ越してきました者です。これ、つまらないものですが……』

なんて挨拶をし来てくれようとしていたりしたんだろうか。



……漫画の読みすぎだろうか。





「……申し訳ない!」





分からないが、とりあえず表札に向けてバッと頭を下げて手を合わせておく。

自分で言うのもなんだが、自分とこの部屋で会うのは至難の業だと思う。

よっぽど暇な人間でない限り。








「たーだいま」






そうひとりでに呟きながら部屋に入って、適当に服を脱いでベットにダイブする。

『お風呂に入ってからにしなさい!』なんてガミガミうるさい人ももちろんいない。



今日も生き延びた。
明日もバイト。
明後日もバイト。
明明後日は……ようやっとの休みか。



ああ、何時起きだっけ明日は。





「……お風呂入ろ」





そうしてただ、日々を食いつないでいる。

日々を生きるために、ここで暮らし続けるために、そしてたまの大好きな娯楽を楽しむために、ただただ、日々体力を消耗させる。






来年になったら、変わりたい。
もう少ししたら、なにか変われるかも。






そう思っていたのに、人はそう簡単には変われないのだから、ちょっぴり切ない。







「切ないねえ、……仕方ないけど」









──── そうして風呂場でゆったりと目を瞑る私の脳内からはもう既に『お隣さん』についての好奇心は消え去っていた。

しかしそのすぐ3日後、あの不思議な疑念とともにまた復活し、そして晴れやかに消えていき人生が180度変わってしまう、なんてことは、この時の私はまだ、なにも知る由もない。







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lemon(プロフ) - 初めまして!とても素敵な作品でとても続きが気になります!第2章のパスワード教えていただきたいです! (5月7日 13時) (レス) id: 1bc68c94aa (このIDを非表示/違反報告)
ちわわ - 初めまして!もうめちゃくちゃ刺さりました…大好きすぎる作品です…!第2章のパスワードを教えていただいてもよろしいですか…? (2022年6月3日 2時) (レス) id: 8e9e78c35a (このIDを非表示/違反報告)
- 初めまして!とても素敵な作品ですね!続きが気になります!第2章のパスワードを教えていただけますか? (2021年3月26日 17時) (レス) id: ce4eaa6c55 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダマカロン(プロフ) - 第二章と片岡さんのお話のパスワードを教えてもらいたいです! (2020年10月10日 2時) (レス) id: 41c2841ae6 (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - はじめまして!素敵な作品で一気読みしちゃいました(TT)第2章も他の作品も是非読みたいです! (2020年3月6日 1時) (レス) id: 9a92e69ecf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨムヨム | 作成日時:2019年9月11日 12時

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