◇深夜3時 (四有限 Vo.) 02 ページ25
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「どうも」
「ありがとうございましたー」
気だるげなお礼の言葉を背中で受けながら、ガサガサと袋に入れられたマイルドカフェオーレを前へ、後ろへ、ゆらゆらと揺らす。
まだ本格的に秋、というにはまだすこし生ぬるい夜風に当たりながら、空に浮かぶほんのちょっとの星を時たま見つめながら、歩いて、歩いて、あるいて。
がちゃりと、何事も無かったかのように扉の鍵をなるだけ静かに閉めなおす。
「えっ、」
サンダルを脱いで1歩2歩と進んでいくとしかし、暗がりの廊下に、なにか、大きな、物体が、寝転んで。
「……げん……?」
「ん、……んー、……ねてた、」
「……びっくりするやん、死体かと思った」
「……ばか。びっくりしたのは俺の方だよ」
そう言われて目を見開く。
ごめん、と口から素直な言葉がぽろりと零れた。
「……ごめんなさい」
結局起こしてしまったのかという申し訳なさと、こんな夜更けに出かけてしまっていたことがバレてしまった罪悪感とで胸のあたりがぐちゃぐちゃになる。
そう、ぐちゃぐちゃになりながらも、「ん、」と眠たそうに座り込んだ彼から両手を差し出されているので、掴んで、精一杯上に引っ張った。
「……重い、」
「……そりゃ、男だからね」
そしてそのままふわっと包まれるように抱きしめられて、感じる。
人の、げんの、体温のあったかさ。
眠れないならさ、と、掠れた声。
「起こしてよ、俺のこと」
「……それは、やだ」
「俺もやだ。Aになんかあったら、って、めっちゃ心配したじゃん」
「……なんもないよ。すぐそこやし、」
「わかってないな」
咎めるようなその言葉と共にまた、さらにぎゅうっと、音が鳴りそうなくらいぎゅうっと、もう、ひとつになっちゃうんじゃないかってくらい、ぎゅーっと抱きすくめられて。
「……どうしたら、分かってくれんの」
「……げん、」
「苦しいなら言ってよ、俺に、全部」
そんな甘々なハグに加えてさらに
俺とそういうの半分こしようよ。
……なんて言うもんだから。
「……キザやね」
「うるさいな」
怒られているはずなのに、ああ、幸せだな、なんて思ってしまった。
「よし、寝よ」
「ん」
「もう出ていくの禁止だからね」
「わかってる」
「ほんとかよ」
もう大丈夫。
きっと、深い深い夢の中へあなたとなら入っていけるから。
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もすこし。
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かか - ヨムヨム様、はじめましてかかと申します。前作から色々読ませていただきました!とてもドキドキする作品ばかりでした。健司さんの歳上彼女の小説が切なすぎて泣いてしまいました…とても好きです、、!健司さんのクリスマスデートのお話が読んでみたいです (2019年12月25日 1時) (レス) id: f7b225b8cd (このIDを非表示/違反報告)
みみ - また新しいやつ作ってくださいー! (2019年12月15日 11時) (レス) id: 9d378c9bf2 (このIDを非表示/違反報告)
ヨムヨム(プロフ) - のぞみさん» 三原兄弟板挟み…私も大好きなシチュですたまらないですよね……。ひっそり応援、こっそり感じておきますね!ありがとうございますー! (2019年9月16日 7時) (レス) id: cd469b8f7b (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ(プロフ) - 好きなバンドばかりで軽率に好きです関西弁たまらん、、、三原兄弟板挟み増えて欲しいです!これからもひっそり応援してます、、、! (2019年9月15日 9時) (レス) id: 1c3d50932b (このIDを非表示/違反報告)
ヨムヨム(プロフ) - とろろのすけさん» どハマりしていただいているようでなによりです。感想読みながらまっしゅの面々を浮かべてニヤニヤしてしまいました。フレ三原弟のリクうけたわりましたー!少々お待ちを! (2019年9月3日 20時) (レス) id: cd469b8f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨムヨム | 作成日時:2019年8月29日 22時