△おわりはじまり (フレデ Vo.) ページ16
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「あれっ、Aさんや」
「おーこんばんは。フレデリックの勢揃い、……ではないね」
出勤早々、練習終わりとは思えないほど爽やかな表情を浮かべるメンツに遭遇し、疲れが吹っ飛んでいく。
が、1人、あの男だけが足らないことに気づいた私に即座に武くんが「あ、健司くんはまだスタジオです」と答えてくれた。
「なんかまだ歌い足りないって」
「それはそれは」
「俺も残ろうか?って言ったら拒否されたんすよー、どう思います?」
「まあまあ、そういう日もあるからしょげないの。気をつけて帰ってねー」
……健司、またスタジオにいるんだ。
しかも、1人、か。
頭の中ではその事ばかりがぐるぐると目まぐるしく駆け回っている。
それでも何事もなく、ほんの少しの動揺だって見せないように振る舞っていたつもりだったが、
「……Aさんもね」
なんてすれ違いざまに言ってきた康司くんのせいで、ああ台無しだ、なんて肩を落とした。
「……気をつけるよ、充分にね」
「あれ、A先輩。なにしてんすか」
「んー、フレデリック見送ってた。もう引き継ぎして大丈夫?」
「大丈夫っす。って言っても今日は忙しくなかったっすよー」
時刻は18時を回ったところ。
後輩くんとゆるい会話をしながら予約表を確認すると、たしかにフレデリックの使用する部屋だけが時間ギリギリまで延長されていて。
「今日はもうあと三原のお兄さんだけっす」
「んーそうだねえ」
「あ、……いや、あの別に俺、夜シフトAさんだとか言ってないんで」
「いや分かってるよ。逆にそうやって否定されるとどうなのかなーって思っちゃうんだけど?」
「いっ、いやいやまじっす!お疲れしたッ!!」
ったく。相変わらずあの子は素直というか、素直すぎるというか。
そんな後輩くんの背中が見えなくなってから、またもう一度、予約表に目を向ける。
「……わざとなんですかー、ってね」
『健司とは、ほんまにだめなんですか』
スタッフが自分1人になった途端、思い出したくもなかった康司くんからの思わぬ一言が頭を駆け巡っていく。
『ほんまにダメなんやったら、』
___ なんでAさんはまだ健司に優しくするんですか。
「……あー、よし、仕事しよ、仕事」
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貸スタジオで働くお姉さん
とのお話、
はじめます。
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かか - ヨムヨム様、はじめましてかかと申します。前作から色々読ませていただきました!とてもドキドキする作品ばかりでした。健司さんの歳上彼女の小説が切なすぎて泣いてしまいました…とても好きです、、!健司さんのクリスマスデートのお話が読んでみたいです (2019年12月25日 1時) (レス) id: f7b225b8cd (このIDを非表示/違反報告)
みみ - また新しいやつ作ってくださいー! (2019年12月15日 11時) (レス) id: 9d378c9bf2 (このIDを非表示/違反報告)
ヨムヨム(プロフ) - のぞみさん» 三原兄弟板挟み…私も大好きなシチュですたまらないですよね……。ひっそり応援、こっそり感じておきますね!ありがとうございますー! (2019年9月16日 7時) (レス) id: cd469b8f7b (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ(プロフ) - 好きなバンドばかりで軽率に好きです関西弁たまらん、、、三原兄弟板挟み増えて欲しいです!これからもひっそり応援してます、、、! (2019年9月15日 9時) (レス) id: 1c3d50932b (このIDを非表示/違反報告)
ヨムヨム(プロフ) - とろろのすけさん» どハマりしていただいているようでなによりです。感想読みながらまっしゅの面々を浮かべてニヤニヤしてしまいました。フレ三原弟のリクうけたわりましたー!少々お待ちを! (2019年9月3日 20時) (レス) id: cd469b8f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨムヨム | 作成日時:2019年8月29日 22時