◇フレデ(Vo.)× 同い年彼女 ページ36
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「……なあ、俺ずーっといつやめてくれんのかなって思ってんねんけど」
「え、はてなんのことでしょう三原兄」
「それやそれ、その呼び方や」
「ぐえっ」
俺よりも低い位置にあるその頭を両手でグッと掴んでやると「イタイイタイイタイ〜」と誇張して叫ぶこいつは同期で同い年なのに、俺のことを出会った時からそう呼ぶ。
三原兄弟の兄だから、三原兄、らしい。
至極単純な理由だしそんな呼び方はこいつしかしないからまあ、それはいい。
……なのに。
「健司あんまいじめんなやAをー」
「いや康司くんそんなん言うてやんとふつうに助けて?目がめっちゃ笑ってるから……って痛い痛い痛い!マジで痛え!!!」
康司くん。康司くん、なあ。
さらりとなんでもないように弟のことをそう呼ぶ、女にしては低めで響くようなその声を聞く度に、ぐらり、ぐらり、と俺の中でなにかが揺れる。
「ひい、頭潰れてまうわ……小顔にしてくれるんやったらそれはありがたいねんけどなーそこちゃうよねー」
「まず三原兄ってなんやねん。じゃあ康司も三原弟やろ」
「えーそれは語呂が悪いっすよ兄貴〜ね、康司くん」
「なあ?それはなにがなんでも無理やりすぎやわあ」
康司も康司でそれを楽しんでるような素振りを見せるからより腹が立つ。
「まあでもAもう小顔やしそれより小さならんくてよくない?そのまんまでええやん」
「えっやだ康司さん褒め上手……」
「Aはいつもかわいいで。俺はいつもそう思ってる」
「きゃー!!褒め殺し王子ーー!!」
いやなんやねんこの2人。そんな仲良く隣に立ってイチャイチャするとか、しかも、この、俺の目の前で。
康司に無言で圧力をかけるがしかしそんなことはまるで厭わないかのようににんまり微笑まれて、しかたなく、はあ、と力を抜く。
「まあ今日はもうええわ」
「えっ、今日は諦めが早い」
「今日は、な」
まあそやろな、康司の方が素直やしかわいいしかっこええし。
それをわかってるからこそ、腹が立つ。
三原兄おつかれー!今日もかっこよかったよー!なんて声が背中から聞こえてきて、振り向くのも何かと思ったので背を向けたまま手を振った。
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も少し続きます。
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かか - 健司さんのお話が好きすぎました…ありがとうございます…また覗きにこさせていただきます! (2019年12月25日 1時) (レス) id: f7b225b8cd (このIDを非表示/違反報告)
さんさん(プロフ) - こんにちは!フレのお話がどストライクすぎてむねあつでした...またお話が浮かんだら読ませていただきたいです〜〜!期待しながら応援してます○ありがとうございました! (2019年9月16日 8時) (レス) id: 452e22e1fd (このIDを非表示/違反報告)
ヨムヨム(プロフ) - しゃけ宮さん» 終わり方が微妙になってしまったのでぜひまた続き、もしくはまた違うお話も書かせてくださいな〜!思い着き次第。よろしくお願いします!感想めちゃくちゃ嬉しかったです!わーありがとうございました!! (2019年8月26日 2時) (レス) id: cd469b8f7b (このIDを非表示/違反報告)
ヨムヨム(プロフ) - 零さん» ひゃーー!ありがとうございます!フレ健ちゃんの時は出会いをめちゃくちゃ曖昧にしてしまったのでその辺どないしよー!っていう焦りもありますが(笑)、私も続きが書きたくてうずうずです。コメントうれしいです〜! (2019年8月26日 2時) (レス) id: cd469b8f7b (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ宮(プロフ) - ヨムヨムさん» さっそくありがとうございます!もう、めちゃくちゃにツボでした…!謎に後輩感強いあきらさんなので、私もなんとなく年上彼女かなぁと想像したので、作者さんの考えとガッチリ合ったみたいで、余計に楽しく読めました!素敵なお話ありがとうございます^^ (2019年8月25日 21時) (レス) id: 3dadc7620b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨムヨム | 作成日時:2019年8月22日 21時