第11話 ページ13
A視点
いがくしょから、見つけられなかった
えみさんと食堂に向かうけど、ずっとその事ばっか考えてる
…あ、食堂…お父さんとぐるちゃんいるよね
泣いたこと、言われるのかな
聞きたくないな
そうだ
「えみさん」
em「どうしました？」
「わたし今日ご飯いいや」
em「おや、具合でも悪いんですか？」
「おなか、すいてないんだ」
嘘、ついちゃった
em「そう、ですか…部屋まで送りましょうか？」
「ううん、大丈夫。部屋にもどるね」
em「…ええ、お気をつけて」
えみさんと別れ、部屋へ向かう
途中で窓から見えた、中庭に生えている桜
桃のような桜と、雪みたいに真白な桜
夜の月明かりに照らされて、とてもきれい
しばらく眺めていた時、ふと思った
手が届きそう
きれいなきれいな桜の木
私も桜のようになればお父さんは見てくれるのだろうか
そんなこと絶対あるわけないとわかってるのに、何故か必死に手を伸ばしてた
いっそ、ここから身を投げてしまおうか
食堂がある2階とは違い、ここは4階
頭でも打ってしまえば、一発だなあ、この高さ
今は、ろぼろもだいせんせーもご飯を食べてるから、監視カメラは自動運転で手前にはカメラを見る人はいない
やるなら今で、とめれる人はいない
この世からでもいなくなれば、お父さんは見てくれるのか
可能性があるならば今すぐにでも試したかった
…そんなこと、あるわけないじゃん
お父さんがわたしを見てくれることなんて一生こないのにさ
いつか、きっと。
そんな期待ばっかして、結局まともな会話をしたのはいつ？
今日だって、ただ怒られただけだし
今日、こんなことがあったよ、とか
あれが楽しかった、とか
そんな話をお父さんとしたのは何年前？
変な期待もってないで、さっさと諦めればいいのに
お父さんが見てるのは、お母さん
わたしのこの目を通して、お母さんを見てる
ねえ、ほんとはわたしなんかよりお母さんの方が大切でしょ？
わかってるんだよ
お父さんに少しでもいいから褒められたくて、少しでもいいからお話したくて
がんばって、いっぱい勉強もした
どんなに怒ってても、みんなが怖がっていても、お父さんへの毎日の挨拶は欠かさなかった
でもいつも帰ってくるのは素っ気ない返事
わかってる、わかってるの
お母さんは何でもできて、きれいで、可愛い人
そんなことを前まんちゃんから聞いた
じゃあ、私は？
何も、できない
「……きっと、いつか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 498人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナ - 夢主ぢゃん....もっと大人に頼っていい”のよ....(泣)....所々夢主ちゃんに共感できる所があるからますます幸せになってほしい....！！ (2月23日 23時) (
レス) @page49 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
ルー(プロフ) - みかんさん» あわわ…！面白いだなんて✨ありがとうございます！ (12月25日 9時) (レス) id: a612f5afd4 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 素敵な作品に出会えました🥲後半ずっと涙が出てきて…胸が苦しくなったり、トン氏の親バカな所など、本当に面白いです！！これからも楽しみにしています！！ (12月25日 1時) (レス) @page39 id: c2142a4a55 (このIDを非表示/違反報告)
ルー(プロフ) - 鈴仙さん» 素敵な作品だなんて！！✨😭ありがとうございます🥺🥺これからも小説いっぱい書いてきます！！ (12月24日 21時) (レス) id: a612f5afd4 (このIDを非表示/違反報告)
鈴仙 - こんな闇のある話ひさひぶりに読みました😢(ガチで泣いた) これからも素敵な作品を描いてください！ (12月24日 16時) (レス) @page39 id: 5c08d5ef79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：曹達水 | 作成日時：2023年6月21日 20時
