子猫が２匹 ページ4
起きたらケージの中にいた私。
外を見ると、イケメンがドアップで視界に入ってきた。思わずシャーッと威嚇してしまう。ごめんよイケメンさん条件反射なんだ。
「威嚇されちゃいました」
イケメンさんは、ちょっと笑って顔を離し、隣にいた、いかにも猫に詳しそうな人に話しかける。
「この子、凄く綺麗ですね。今まで見たことないんですが、珍しい子なんですか？」
「はい。そもそも、黒猫で青い瞳自体が珍しいんですが、それにオッドアイだと、さらに希少性が上がります。私も、実際に見たのは初めてです」
「へえ、そうなんですか！勉強になります」
イケメンさんが質問し終えると、カメラマンが私に寄ってくる。
ちょっと恥ずかしい。
と思った次の瞬間。イケメンがケージの中に手を入れてきた。
「ご飯ですよ〜」
『びっ』
なんだご飯かびっくりした。にしてもイケメン、お前勇気あるな。野良猫に手を近づけるなんて。
「ん？今この子『びっ』って言いませんでした？」
え？
『え？』
「ほら、今度は『え』って」
は？
『は』
んなことあるわけな
「あ、『は』って言った」
『』
さてどうしようか。このイケメンこっちを若干睨んでるぞ。まさかそんなわけないのにねアハハ。
……このイケメン勘がいいのか？私自分でも気づかなかったんだけど。
こうなりゃ、あのセリフを使うしかない！
『ワタシ ネコ ニンゲンノ コトバ ワカラナイ』
「「「「「喋った……」」」」」
私が某呪いで戦う漫画のあのキャラの台詞を言った途端、周りの人達全員が固まった。
まあ、そうなるよね。仕方ないよね。うん。猫が喋ったんだもんね。
私は居た堪れなくなり、開いていた扉から外に出る。そのまま、保護会場から逃げ出した。
『探さないでくださーい！！！』という流暢な日本語を残して。
流暢な日本語が、後にテレビで放送されているなんて、この時の私は知る由もなかった。
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作者名：白狐狼 | 作成日時：2024年1月14日 20時
