あの日の約束 (ページ29)

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ケーキ屋さんに着いて入り口を開けると甘い匂いがする。

隣を見ると目をキラキラさせているA。
ほんっとに甘いもの好きすぎ。

いつもいるおばちゃんに名前を伝えるとちょっと待っててねって言って裏に行ったから取りに行ってくれたんだと思う。

「A、見過ぎ」

A「だってさー、美味しそうなんだもん」

「いや、分かるよ、分かる。美味しそうなのは十分分かるんだけど、見過ぎなのよ。」

A「だってね、チョコケーキもチーズケーキもいろんな種類あるよ？見て、シュークリームもエクレアもある！あー、美味しそう〜〜」

「でもお金持ってないからまた今度にしようぜ」

A「うん...そうなんだけどね...いや、うん。分かってる...分かってます...」

言葉では分かってる風に聞こえるけど残念なのが顔に出過ぎてる。

でもよく考えてみ？
夜ケーキ食べるぞ？
好きすぎだろ......

奥からおばちゃんが箱を片手に戻ってきた。

おば「お待たせ〜、これであってるかな？」

箱を開けて中身を見ながら確認をしてくれる。

毎年同じケーキだから一目見たら分かる。

「合ってます！」

おば「で、これチョコプレートね」

「ありがとうございます」

おば「もしかしてこの名前の2人って君たちのこと？」

「え、あ、はい。そうです。」
A「...はい」

おば「そうだったのね、毎年お母さん？が予約して取りに来てくれるでしょ？会えて良かったわ。今年もケーキ作らせてくれてどうもありがとうね。」

「こちらこそ毎年楽しみにしてるんですありがとうございます！」
A「ケーキすっごく美味しいです！ありがとうございます！」

おばちゃんも俺もAもみんなニコニコでなんかあったかいな〜って、気持ちになってお店を出た。