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私が8歳に、樹が9歳になる年の4月、地元から少し足を伸ばして2家族合同でお花見をすることになった。
向かう場所は有名ではなく、地元の人だけが知る穴場スポットらしい。丘の上には大きな桜の木が1本。そこに行く途中に少し遊具がある広場のような場所もあった。
満開に咲いている桜の幹の麓にレジャーシートを広げ、持ち寄った弁当をみんなで囲い、大人はアルコール、子供はジュースを片手に乾杯。
私はお兄ちゃんの隣で、母さんが作る大好きな卵焼きとウインナーを夢中で食べていた。
ある程度食べ終わり、来る途中の広場で子供たちだけで遊ぶことになった。
ノリ気ではなかったがお兄ちゃんと遊びたいって一心だけで、先に広場へ走り出したお兄ちゃんに追いつくように頑張って走った。
滑り台で遊ぶ人、ブランコをする人、ジャングルジムで遊ぶ人でそれぞれに分かれた。
もちろん私はお兄ちゃんが行くところについて行く、つもりだったけど隣に樹のお兄ちゃんが居て2人でブランコで遊ぼうとしていたので行かない方がいいのかなって思って滑り台で遊ぶことにした。
ここの公園の滑り台はトンネルとか鉄棒とか橋渡りとかいろんなのが付いている。
5分くらい経ったかな?
1人で遊んでいたら樹に話しかけられた。
樹「A、どっちが先に登って滑り台で降りて来れるか競争しようぜ」
「え、競争?」
樹「そう。もし俺に勝ったら後でお菓子あげる」
樹がポケットから出したお菓子はクリームが挟まったクッキーで私がすごく大好きなお菓子だった。
「分かった、勝ったら絶対ちょうだいよ、絶対だからね!」
樹「勝ったらね、勝ったらちゃんとあげる」
ちょっとムキになって返事してしまった。
結果、樹が勝った。
「負けたし...」
樹「ん!」
「何?」
樹「あげる!これ好きなんでしょ?」
「負けたのに?いいの?」
樹「うん、あげる」
「ありがとう」
結局2人で椅子に座って食べながらいろいろな話をした。
話してみると今までちょっと怖いなって思ってたけどそんなことないって分かったしもっと話してみたいなって思ってた。
さっきまで思ってた感情とぜんぜん違ってて勘違いしてたんだなって気づいた。
2人で話をしていたらお兄ちゃん達がやってきた。
兄「そろそろ戻ろっか」
私・樹「「はーい」」
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作者名:Hana | 作成日時:2023年12月6日 3時