ツンデレすぎる護衛人【灰谷竜胆】

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りんちゃんの彼女になって、もうすぐ一ヶ月。
交際がスタートしたと同時期にドラマの話が舞い込み、
想像していたラブラブ生活とは程遠い日々を送っていた。



連日、朝から晩まで撮影。
休みなどないし、なんなら食事すらあまり食べていない。デートなどもってのほか。
キスだって、付き合った日のあの一回だけ。



寂しい気持ちはあるが、それ以上に仕事のことで頭がいっぱいだったし、彼もまた何も言わないことから理解してくれているものだと思っていた。






＊






｢君が欲しい、君の全てを。｣


『そんな…っ。』


｢……嫌か？｣






『………………ちょ、ちょっとストップ！！
りんちゃんなんでそんな上手いの……？』



珍しく早めに撮影が終わったその日は、
彼御用達の個室のご飯屋さんで食事を済ませ、
私のマンションに帰ってきたわけだが、
明日の撮影に向けて台本読みを手伝ってもらっていた。
が、シーンがシーンなだけになんだか緊張してしまう。
しかも、上手いのだ。てっきり棒読みだと思っていたのに、本当に言われているかのようで……。




『ちょ、ちょっと一旦休憩……っ！
シャワー浴びてくる…っ！』


赤い顔をこれ以上見られたくなくて、
両手で顔を覆いながらその場を後にした。



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