ツンデレすぎる護衛人【灰谷竜胆】

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どうぞ、と言われ開けられた車のドア。
なんとなく恥ずかしくて、
どうも…なんて俯きながら乗り込んだ。






＊






無言の車内。
気まずさを感じながらも、私は口を開いた。



『あの…先日はありがとうございました。』

｢……何のことでしょうか。｣


勇気を振り絞ってお礼を伝えるも、
何の事、知らないの一点張りだった。







『いや、でも…。』

｢……めんどくせぇな。｣


その言葉にびくりとして前を見ると、
ミラー越しに目が合った。


｢…たまたま通りがかっただけだ。気にすんな。｣

この話は終わりだ、しつけぇ、と
いつのまにか敬語も抜け、乱暴な言葉遣い。




『すみません…。』



酷く居心地が悪く、こんな怖い人とこの先も一緒に…？なんて絶望のようなものを感じていた。



なのに。









｢……怪我、なかったか。｣



『え……、？あ、はい。何とも…』


｢ん、ならいい。｣


あの…、と話しかけるも
｢終わりだって言っただろーが。｣と取り合ってくれない。





だけど先程までの威圧感はもうどこにもなくて。






(なに、この感じ…これって、もしかして)

ピンチを救ってくれたくせに、ぶっきらぼう。
なのに怪我の心配をしてくれる優しさ…。








＊





佐倉A 。職業 女優。
にわかに信じ難いけれど、
もしかしたら私、このボディーガードの灰谷さんに一目惚れ…いや二目惚れをしてしまったかもしれません。



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