短編 (ページ2)

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たぶん、愛と平和（ぺちゃんこ）ページ2

「膨らんだほっぺでしょ、つんっととがらせたおくちでしょ、それからすぐに赤くなる耳に…、」
「もういい！もういいからぁっ！」
「ええー？まだまだあるよ？手がきれいなところでしょー…、」
「もう俺が悪かったから！だからもうやめて！おねがいっ！」

事の発端は、「わたしのどこが好きなの？」というAの何気ない一言から始まった。
うまく言えない俺は全部と答えたのだが、具体的に？と続けた彼女に、とにかく全部！と言ったのが間違いだった。
Aは「わたしは言えるよ！」と冒頭に戻る。

自分でも顔が熱くなっていくのがわかり、炭酸水を一気にのどに流し込む。
俺が一息つくと、「ぷはぁってするところもかわいくて好き」なんて言うもんだから、思わず咳き込んだ。
すぐに背中をさすってくれる小さい手がAのものだとわかるまで、そう時間はかからなかった。

「ぺーさん大丈夫？」
「ごほ、っげほ、…だいじょ、ぶ、…ありがと」
「そうやってすぐにありがとうって言えるところも好き」
「もういいってばあ！ごめんって！俺が悪かったから！」
「ぺーさんの悪いところは悪くないのに謝るところだよ、でもそういう優しいところも好き」
「ねえほんとにもういいから！」

今にも爆発しそうな俺に、ぺーさんの全部が好きなんだもん、とAはいたずらっこのように笑った。
…ああ、もうっ！
Aを強引に組み敷くと、状況を察したらしい彼女の顔が一気に真っ赤になって、抵抗しようともがきだす。

「えっとあの、一旦！一旦落ち着こう？！それにまだお昼だし…、」
「なに？こういう俺も好きなんでしょ」
「調子乗りすぎたわたしが悪かったから！ごめ…、」
「もうだめ、許さない」

つまるところ、きみの全部が好きなんだもん。