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御館様に言われるがまま、その鱗滝左近次という方の元に行く。
私の鴉がカァーと鳴き、羽根を落とす。
「澄乃!コノ山奥ダ!行ケ!」
相も変わらず、この鴉は苗字呼びなのだ。
しばらく脚を走らせ、見えたのは少年が懸命に山を走り回ってる姿だ。
「何をしてるの?」
つい、おもわず。
声をかけてしまった。ヒュッと掠れる声が漏れた少年。きっと鍛錬に集中しすぎたせいだろう、油断していたらしい。
「ダメだよ、油断は己の心の炎をいとも簡単に消してしまう」
「さて、あなたが竈門炭治郎くんね。鬼は何処?」
「ッ!妹はッ!!!禰豆子は!!!!」
妹のことになるとあまりにも“兄”の顔になる竈門少年に笑みが毀れる。
そんな私に「え?」と気の抜けた声を洩らす少年。
「面白い子に出会ったよ。キミの育手を私に紹介してくれないかな?」
それでもなお、口をパクパクさせる竈門少年。
何だかおかしくてそれにまた笑ってしまう。
「あの、俺……名前って」
「ああ、心配しないでほしい。
私は鬼殺隊の雨柱。澄乃A。コレでも一応隊士さ。」
「おや、どうしたんだい?
口をあんぐり開けて。そんなんじゃ顎が外れてしまうよ。
んー、それとも私のようなおちゃらけた人間が隊士だと知って驚いてしまったかな?」
「いや、あの、え?」
それから、竈門少年の修行に付き合い、日も暮れる頃、一件の家に案内された。
ああ、彼があの元水柱。
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作者名:ヴィズ | 作成日時:2021年5月11日 21時