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嘘のように痛みが消えた。
そう思ったのも束の間。今度は異常な空腹感に襲われる。
目の前の動くナニカからとんでもなく美味しそうな匂いがする。
でもそれも一瞬。あっと言う暇もなく甘い匂いに包まれ惑わされる。
「お嬢さん、逃げてください」
「いいの、珠代先生。ありがとう。これで安心したよ、
せめて、楽しんでくれ」
「楽しんで。苦しまないで。
私を殺したのはお前じゃないよ、無惨だ。」
「お前は私を守ってくれた、だからこうして生きている」
「……生き…、生……!愈……あ…が.....う」
「……愈史郎」
甘い匂いが、鼻をつんざくほどの血の香りに変わった。出処を目で追う。
「そんな」
「うそだ」
愛しい人の亡骸が、
こんなことがあっていいはずがない
「どうして、なんで?」
「お前か、お前があの人を殺したのか?!」
淡い紺色の着物が良く似合う女性は一粒、涙を零しながら
「愈史郎、全てあなたがやりました。
そして彼女はそれを全て許しました。」
まもりたかったのに、結局あの人はいつも俺をまもって、先に進んでしまう。
「あの、彼女を殺したのは俺じゃないって、無惨って」
「全ての元凶が、鬼舞辻無惨という男です。私も愈史郎、貴方と同じですよ。」
重なってしまったのだ。貴方と、珠代様が。
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作者名:ヴィズ | 作成日時:2020年12月18日 23時