帯刀“鶴丸国永”

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僅かばかりのお金を懐に、私は今日旅に出た。

この鶴丸を腰に、新しい世界を見る。
小柄な私には少し、扱いづらい太刀ではあるけど、
それでもいいんだ。


だって、父上が私のために打ってくれた刀だもの。
誰のものでもない、私だけの鶴丸。

とて、私は11歳……。
まだまだわからないことだらけで、未熟だ。
それでも私はこの世界を変えなければ！

常識を覆して、医者を増やすんだ！
女医だって必要。海の向こうの大陸から知識を求めねば。


変えるんだ。私が！
大丈夫。父上に会えなくたって、私にはこの“鶴丸国永”がいるんだから____!!




刃を振るえ、燃え盛れ……ｯ、私の心！！


宮中では護衛にでもなって、根元から変えていく。
政治に手は出せないけど、上の立場になれば力もつくはず。


そうすれば、私の理想の……平和な世界になれるかもしれない。




「女だ……しかも童ときた」

「まずは堪能するかぁ？」

「やめろ、悪趣味な……でも、金にはなるだろうな」



耳がいいんだ。
父上が玉鋼を叩く音が好きでねぇ＿。


目がいいんだ。
母上が笑って目元にシワを寄せるのをみていたから＿。




「ここが私たちの初陣だね、鶴丸。」




ここが私たちの初舞台______、肥後国。

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