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芽吹かれた。
気づけば知らない景色。真っ暗だった視界が一気に明るくなって、ソレが空で、太陽で、月であることを知った。
隣を歩く少女は華奢で、とてもじゃないが丈夫な体の持ち主ではなかったと思う。
斧を持った男に襲われた彼女。最初は逃げていたが、やがて意を決したのか、俺を抜き出す。
尚も震える彼女の身体に寄り添うように、背中を押す。
初めての血の味。
彼女のためにもコレに飲まれてはいけないと、分かっていた。
血を見て震え、手拭いで俺を拭く小さな手。
ごめんね、ごめんね と謝る彼女。
「何を謝ってるんだ?」
届くはずなんてないと、分かっていた。
それなのに、彼女は「キミを汚して、ごめんね、今すぐ綺麗にするね」と。
まるで宝物を扱うように丁寧に、優しく。
俺の一生の主は彼女だ。
彼女、Aだ。
彼女以外に振るわれたくない。
思えば墓荒らしをされたあとも、主人を殺した。
その後、伊達に渡った時も、気づかれぬように殺した。
国宝だと騒ぎ立てた偉そうな奴らも殺した。
そして、俺が増えた。
Aを待つ間、こいつら人間のおままごとに付き合おうと、政府の力になった。
だが、なんだ?この有様は?
見ていて腹が立つ。何故俺たちを傷付ける?
Aならこんなことをしない。
「や、やめろ、やめろ!!主命だ!!!やめろ!!!!刀を降ろせ!!」
「俺の主はお前じゃない。Aただ一人だ。」
黒い気持ちが俺の中を支配して、Aに会いたいという気持ちが増えて、
増えた俺たちは審神者を殺した。
無論、政府と約束した身。
俺ら全員が殺した訳では無い。
一度でも俺に暴力を振るった奴だけ。
「さぁ、A、早く俺の元に姿を現してくれ。
人の身を得たんだ。抱きしめさせてくれ。キミに会いたいんだ。」
もう何日、何年経ったんだ。
早く俺を見つけてくれ、“縁”
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安奈(プロフ) - 何回も読んじゃうくらいハマりました。続編か番外編作って下さい。 (2021年7月24日 15時) (レス) id: 684d6cbe53 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィズ(プロフ) - 玄さん» お褒めの言葉ありがとうございます!笑 (2020年8月6日 11時) (レス) id: faed2ccaa7 (このIDを非表示/違反報告)
玄(プロフ) - うわ尊!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!尊い!!!!!!!!!!エモい!!!!!!!!!!すげぇ!!!!!!!!!!すげぇ!!!!!!!!!!(語彙力皆無)あなたは神か、 (2020年8月6日 5時) (レス) id: c32115693c (このIDを非表示/違反報告)
ヴィズ(プロフ) - 美咲さん» わああ!コメありです!感想も励ましの言葉もありがとうございます!頑張ります(^O^) (2020年6月26日 10時) (レス) id: faed2ccaa7 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - とても面白かったです!続きを楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2020年6月6日 17時) (レス) id: f53a1d45b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヴィズ | 作成日時:2020年2月14日 2時