検索窓
今日:1 hit、昨日:24 hit、合計:140,401 hit

32 ページ30

芽吹かれた。


気づけば知らない景色。真っ暗だった視界が一気に明るくなって、ソレが空で、太陽で、月であることを知った。

隣を歩く少女は華奢で、とてもじゃないが丈夫な体の持ち主ではなかったと思う。


斧を持った男に襲われた彼女。最初は逃げていたが、やがて意を決したのか、俺を抜き出す。


尚も震える彼女の身体に寄り添うように、背中を押す。


初めての血の味。

彼女のためにもコレに飲まれてはいけないと、分かっていた。


血を見て震え、手拭いで俺を拭く小さな手。

ごめんね、ごめんね と謝る彼女。



「何を謝ってるんだ?」

届くはずなんてないと、分かっていた。

それなのに、彼女は「キミを汚して、ごめんね、今すぐ綺麗にするね」と。



まるで宝物を扱うように丁寧に、優しく。



俺の一生の主は彼女だ。

彼女、Aだ。




彼女以外に振るわれたくない。



思えば墓荒らしをされたあとも、主人を殺した。
その後、伊達に渡った時も、気づかれぬように殺した。

国宝だと騒ぎ立てた偉そうな奴らも殺した。
そして、俺が増えた。


Aを待つ間、こいつら人間のおままごとに付き合おうと、政府の力になった。


だが、なんだ?この有様は?


見ていて腹が立つ。何故俺たちを傷付ける?
Aならこんなことをしない。



「や、やめろ、やめろ!!主命だ!!!やめろ!!!!刀を降ろせ!!」


「俺の主はお前じゃない。Aただ一人だ。」

黒い気持ちが俺の中を支配して、Aに会いたいという気持ちが増えて、



増えた俺たちは審神者を殺した。


無論、政府と約束した身。

俺ら全員が殺した訳では無い。
一度でも俺に暴力を振るった奴だけ。




「さぁ、A、早く俺の元に姿を現してくれ。
人の身を得たんだ。抱きしめさせてくれ。キミに会いたいんだ。」





もう何日、何年経ったんだ。




早く俺を見つけてくれ、“縁”

33→←31



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (216 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
340人がお気に入り
設定タグ:鶴丸国永 , 刀剣乱舞 , とうらぶ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

安奈(プロフ) - 何回も読んじゃうくらいハマりました。続編か番外編作って下さい。 (2021年7月24日 15時) (レス) id: 684d6cbe53 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィズ(プロフ) - 玄さん» お褒めの言葉ありがとうございます!笑 (2020年8月6日 11時) (レス) id: faed2ccaa7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - うわ尊!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!尊い!!!!!!!!!!エモい!!!!!!!!!!すげぇ!!!!!!!!!!すげぇ!!!!!!!!!!(語彙力皆無)あなたは神か、 (2020年8月6日 5時) (レス) id: c32115693c (このIDを非表示/違反報告)
ヴィズ(プロフ) - 美咲さん» わああ!コメありです!感想も励ましの言葉もありがとうございます!頑張ります(^O^) (2020年6月26日 10時) (レス) id: faed2ccaa7 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - とても面白かったです!続きを楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2020年6月6日 17時) (レス) id: f53a1d45b5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ヴィズ | 作成日時:2020年2月14日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。