続き ページ10
アルカとナニカ、聞き覚えのない名前じゃない。
寧ろ記憶を盗みみた時に頻繁に出ていた名だ。
関係性までは分からないが、おおかた家族の誰かだろう。そう考えて込み上がってくる憤りを鎮めた。
この先、パクノダの能力は必要ない……、そう思って破り捨てた本の一ページ。
「チッ 失敗したな」
柄にもなく口から溢れた舌打ち。憤りを抑えることが出来ても、苛立ちは抑えられないクロロ。
炎に反射し輝くオニキス。
対するキルアはクロロの葛藤劇も知らぬまま深い眠りについている。夢を見てる。
ここに来るまでの夢だ。強くなると誓ったときの夢。
妹のために、ナニカのために強くなる、そう決めたのに・・・・相当弱っていたのか見ず知らずの人について行ってしまった。
でも、不思議と後悔はしていない。まるでこれが“運命”だったかのように。
「……んっ。クロロか?」
まだ眠そうな目を擦りながらクロロを確認するキルア。相当気に入ったのだろう。
警戒心の強い彼がすぐに名前を呼び、寝姿を晒し、寝起きで探すくらいなのだから。
「ああ。キルア、おはよう。」
決して眩しくはない顔で笑うクロロ。
この空間には太陽も、月も、空も、草も、家も、何も無い。本当に何も無い。無の空間だ。
そんな空間に、愛されたい少年と愛をよくわからない成人男性がいる。
性別が同じでも、間違いが起こっても致し方ない。
「ふふ。なあクロロ、どうして俺を匿ってくれるんだ?」
年相応に笑うキルア。単純な疑問にクロロは少し思考し、そして答える。
「お前と二人きりになりたかった。」
「え?」
「そう言ったらお前はどうする?」
まるで試すように、それでいて保険をかけているクロロ。大人は汚い。そんな事実が垣間みえる。焦りを隠すように笑うキルア。
「は、はは。お前が俺を愛してくれるならいいぜ。」
口が勝手に。そう思ってももう遅い。
目の前を見れば口角を上げた端正な男が自分を見つめて、
そして色っぽくこういうんだ。
「貰っても、いいんだな?」
命をか?最初に考えたのがそれだなんて、職業病を感じざるを得ない。
理解するのと同時に上昇する体温。
そして、これでもかと言うほど跳ね上がる心臓。
「アンタになら……いいぜ。」
口をついて出た言葉は本心だったのか。乱れ舞う二人に理性という言葉など存在しない。二人は本能でお互いを求めあっている。
堕ちた鷹は羽ばたけない。
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ゆっずー(プロフ) - ヴィズさん» もうめちゃくちゃ良かったですよ!!リクエスト聞いていただきありがとうございます!!楽しみです! (2020年6月10日 14時) (レス) id: 6179140598 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィズ(プロフ) - ゆっずーさん» コメントありがとうございます!仕事の休憩中に書いたものなので拙い点があると思います……(汗)いかがでしょうか??また暇な時に両思いヒソゴン書かせていただきます〜! (2020年6月10日 14時) (レス) id: faed2ccaa7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっずー(プロフ) - 流石ヴィズさんですね…!リクエスト良いですかね…。地雷じゃなければ、ヒソゴンお願いします…! (2020年6月10日 12時) (レス) id: 6179140598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヴィズ | 作成日時:2020年5月24日 12時