花と華、。

クロキル ページ4

#「人形と使命の念」




「助けてくれ」
何度そう願ったのかわからない。理解してるのはこの鎖の重みと電圧の痛みのみ。そして闇色の瞳。
「もう耐えれないの？ゾルディック家として恥ずかしいとも思わない？」
兄、イルミは俺が涙を流すと必ずそういう。好きで生まれた訳では無い。なのに、家風がどうのとか、知ったことか。
「あっ、いっ！！！」
ビリビリして、もう感覚なんてない。傷だらけの体。助けて、誰でもいい。この痛みから解放されたい。手を伸ばしてみるも空を切るばかり。ああ、俺はこのまま死ぬのか。
「どうした。生きろ」

・

「ん。」
死後の世界、そう思って目を開けた。相も変わらず重い肉体に絶望を感じ周りを見渡す。廃墟か？ああ、俺は死んでもなおここで拷問を受け続けるのか？俺にはお似合いだな。死んで尚も、死にたいとか。俺、助けて貰えるならなんでもするよ。
「起きたか？」
誰……？俺を痛めつける人間か？
「だ、れ？」
喋るのもしんどい。動くのですら億劫。なんて屈辱だ。いまだに目が痙攣し、脚が動かない。
「もう大丈夫だ。お前を支配する者はどこにもいない。これからは俺がお前の保護者だ。」
「保護者？」
そう問えば安心する笑みをくれた。そして一言。「だから俺のために生きろ」と。ああ、俺、助かるのか。アンタに、アンタのおかげで助かるのか。もう独房に入れられることも拷問器具で痛めつけられることも無いのか？なあ、そしたらよ、俺のこと、
「愛してくれるのか？」
目を見開き、「ああ」と微笑む男。名前はクロロと言うらしい。
懐かしい思い出に浸るのも束の間。俺はクロロの言うことを何でも聞かなきゃいけない。だって、あの人は俺に愛をくれるから。愛してくれるから。ああ、今日も、今日もくれるのかな？白くて苦くて……でも、甘い液体。

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