ゴンキル ページ1
#線 香 花 火
物心ついた時から、俺は一家を継ぐ貴重な跡取りとして厳しく育て上げられていた。幼いながらもそれがどれだけ異常なことなのかを悟っていた。
山を下れば、同い年くらいの男の子が楽しそうにはしゃぐ。ボールを追いかけたり、缶を蹴ったり、不思議だったのは暑い夏の夜のこと。後から聞くに“花火”だというそれは綺麗で、何か神秘的なものを感じた。まァ、神様とか信じないけどね。
「キルア、花火したことないの？」
ドクン…。心臓が跳ねる。別にやましい事を聞かれてるわけじゃないってわかってる。ただ、ゴンは純粋に聞いているだけだ。でも、俺さ、ちょっと可笑しいからそれが皮肉に聞こえんだよな。「キルア？」と覗き込んでくるその大きい瞳に映る俺は、まるで籠の中の鳥。鳥籠に閉じ込められて助けて欲しそうに此方を見てる。
「あのね、キルア。これは線香花火って言ってね。最後まで灯を落とさないでいると願い事が叶うって言われてるんだよ」
ニコッと笑って「はい、キルアもやってみて！」というゴン。差し出されたこよりのようなそれに指を近づける。バチッという音を立てて燃え上がる“線香花火”。
「おお！ゴン！これ、すっげーな！」
俺のその声が振動したのか、はたまた、興奮したことによって揺れ落ちたのか分からないがそれはボトッと湿った地面に音を立てて落ちる。「あぁ……」という俺の残念そうな声に、「まだあるよ」とふわり笑うお前。
なんか、そうだよな、お前とこうしてずっと旅してるもん。一緒に強くなったもんな。なァ、俺さ、俺……お前がネフェルピトーに一人で着いて行った時さ、どちらかが人質に取られることが一番怖いことだって言ったろ？言ったんだよ。
本当は自分が一番怖かったんだ。これ以上自分の何かが壊れたくなかったんだ。でもさ、やっぱり俺の中でゴンは俺以上に大切で、なあ、俺……心中する覚悟だったんだぜ？オーラでお前ってわかったけど、でも気が動転していたんだろうな。お前を受け入れるのに時間がかかったよ。ゴン？って俺が名前を呼びかけたら、お前さ、哀しそうにこっち振り向いたよな。
なぁ、ゴン。殺しは俺に任せてくれよ。お前の綺麗な手、汚したくなかったんだ。
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ゆっずー(プロフ) - ヴィズさん» もうめちゃくちゃ良かったですよ！！リクエスト聞いていただきありがとうございます！！楽しみです！ (2020年6月10日 14時) (
レス) id: 6179140598 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィズ(プロフ) - ゆっずーさん» コメントありがとうございます！仕事の休憩中に書いたものなので拙い点があると思います……（汗）いかがでしょうか？？また暇な時に両思いヒソゴン書かせていただきます〜！ (2020年6月10日 14時) (レス) id: faed2ccaa7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっずー(プロフ) - 流石ヴィズさんですね…！リクエスト良いですかね…。地雷じゃなければ、ヒソゴンお願いします…！ (2020年6月10日 12時) (レス) id: 6179140598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヴィズ | 作成日時：2020年5月24日 12時
