続き ページ8
「ああ。俺はクロロだ。お前は。」
簡潔に述べられる質のいいテノール。
“クロロ”という名前に既視感を抱くキルア。
聞いたことのある名前、でもどこで？直ぐに思い出せないのだから大して重要なことではない、そう考えキルアは己の名を口にする。威嚇の意味を込め、フルネームで。
「俺はキルア=ゾルディック。行こうぜ、クロロ。」
もし彼が同職の人間ならばゾルディックの名に慄いて退くだろう、そう思ったのに。
彼は眉一つ動かさず口角を上げ手を差し出してきた。
この手をとれと？多少疑問に思ったが仕方ない。
サッと繋がれた手。そして数分。
「お前は何故あそこにいたんだ？何かあったのか？」
クロロはいやらしい男だ。団員パクノダの能力を借りてまでこの少年、キルアを自分のものにしようとしてる。
検討はついている。ただ、気になってるコイツからは、キルアからは直接聞きたい。だが本音も聞きたい。我儘なクロロは念能力に頼り本音を。
あとはキルアを信じて待つだけだ。
「失望、しないか？」
心に余裕のないキルア。普段なら絶対に口を割らないところなのに、何故かスラスラと喋ってしまう。まるで、彼がキルアの特別な人のように。
「するわけないだろ？」
怯えた顔で、雨のせいか震えた体。それだけでクロロは上がる。 ああ、誘ってるのかコイツはなどと柄にもないことを思いながら。
「ゾルディック家って知ってるか？」
キルアにとってゾルディックの名前を出すことは威嚇、または前進したことを意味するのだ。
今回の場合は後者。
「聞いたことはあるぞ」
嘘はついていない。イルミという金で動く男を知っているからだ。実を言うとクロロはイルミを通じてキルアの存在を知り、興味を持ったのだ。
「俺、それの跡取り。分かるだろ？俺は暗殺者。殺人鬼だぜ？」
自嘲気味の言葉。
全てを諦めている視線。
その割には完璧な暗歩。
ああ、無駄な動きのないこの少年は、才能を殺そうとしてる。
「なるほどな。行くぞ。」
頭を撫でるふりをして針を抜くクロロ。
これでもうイルミが彼を見つけることはない。
なぜならそれは…盗んで得た能力のひとつで雲隠れするからだ。
念空間に飛ぶ能力。
円を通さない最強の。
これで二人きりだなそう笑う男の悲しい顔は哀愁漂う訳でもなく、ただただ、耽美なものだった。
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ゆっずー(プロフ) - ヴィズさん» もうめちゃくちゃ良かったですよ！！リクエスト聞いていただきありがとうございます！！楽しみです！ (2020年6月10日 14時) (
レス) id: 6179140598 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィズ(プロフ) - ゆっずーさん» コメントありがとうございます！仕事の休憩中に書いたものなので拙い点があると思います……（汗）いかがでしょうか？？また暇な時に両思いヒソゴン書かせていただきます〜！ (2020年6月10日 14時) (レス) id: faed2ccaa7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっずー(プロフ) - 流石ヴィズさんですね…！リクエスト良いですかね…。地雷じゃなければ、ヒソゴンお願いします…！ (2020年6月10日 12時) (レス) id: 6179140598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヴィズ | 作成日時：2020年5月24日 12時
