盗賊の嗜み

オレは ページ8

当日ー。

「行くぞ。」


意外にも見張りは少なく呆気なくお目当ての場所についてしまう。


「間違いない」

彼女だ。


「へぇ、ヴィラン＝リーゴが描いた絵だったんだ」

「シャルナーク、知っているのか？」

「知ってるも何も有名だよ。眉目秀麗で今年二十歳を迎えたばかりなのに大勢のファンがいる絵画界の超新星って。」

「そうか。」

まさか彼女がその男に落ちたとか、ありえるだろうか？
いや。ありえない。だって彼女はオレに盗まれるのを楽しみにしていると言っていたんだ。

「“モデルとなった彼女は現役ハンターであるA＝ルシルフル数多の才能を持て余した秀才な容姿端麗である。
ルシファーと呼ばれる所以はルシルフルという苗字からと言われている。
彼女の美しい横顔、秘めたる思いは『あの日の少年』だという。
ヴィラン史上最も美しいと言われる超大作の絵画”」

あの日の少年とは…そうか。
“A”さん、期待してもいいのか？

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