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気になることが多々ある。
あの日、崖から飛び下りた日。
勇者の奇跡を信じ、死を覚悟して飛び降りたオレ達に
あろうことかあの白薔薇のAも一緒になって飛び降りてきた日。
随分と肝の据わってる女だなと落下してしてる時に思ったオレも大概だが、白薔薇をみて思わず驚いた。
涙を流して何かを叫んでいたから。
そして驚いたことにアイツは地面に衝突したらしい。
鎧はもちろんの如く粉々。
剣も何故か刃が綺麗に折れていた。
オレ達は幸いにも無傷だったが、白薔薇の怪我は相当で、敵のオレからみても可哀想と同情するくらいには大それていたものだった。
正直、不憫だなとは思った。
でも同時に、あの高さから降りたのにそれだけの怪我しかしていないのなら やっぱり “白薔薇”の異名に相応しいくらいの実力の持ち主なのだなと思ってしまった。
アイツが目を覚ましても今なら殺れるとか考えていたが、記憶を失っていると知ってからそんな気持ちが薄れていった。
そして違和感、アイツはオレ達が牢にいたとき
グレイグとホメロスの名を呼んだが、何故かグレイグには殿付け、ホメロスには様付け。
直感で思った。コイツはホメロスが好きなんだろうと。
尚更思い出させたら危ない。
いつ逆襲されるかもわからないからな。
そして最近、アイツは頭を抱えることが多くなった。
“デルカダール” “レッドオーブ”
オレが知る限りこの2つの言葉はアイツへのヒントになってしまう。
あのとき、顔を歪め頭を抱えたアイツが呟いた
『“待ってて、ホメロス様”』 の言葉に全てのピースが繋がった気がした。
いや、確信せざるをえなかったんだろう。
受け身ととれるその言葉はホメロスとヤツが愛し合ってることを表している。
なぜだかショックで、安堵してる自分がいて、焦燥に駆られる自分もいたんだ。
今日だって、自分の過去を断片的にだが思い出してる様子だった。
これじゃぁ時間の問題だな…。
どうにかコイツより強くなんなきゃ…、じゃなきゃオレの贖罪は果たせない。
兎にも角にも、コイツに“ホメロス”という単語は厳禁だ。
イレブンにも伝えとかなきゃな。
昨日の夜、初めてキャンプ場に泊まった日、アイツが1粒の涙を流しながら「ホメロス様…ごめんなさい」と呟いたのはきっと…、オレの気の所為だろうな。
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ヴィズ(プロフ) - リリィさん» コメントありがとうございます!!嬉しいお言葉です、本当にありがとうです!!! (2019年1月10日 23時) (レス) id: 325ec06872 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - ホメロスが好きになりました。ありがとうございました! (2019年1月10日 19時) (レス) id: 401a5e74b1 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィズ(プロフ) - リオンさん» コメントありがとうございます!頑張ります(´∀`)待っててくださいね〜!!! (2018年11月28日 17時) (レス) id: 54e78712b9 (このIDを非表示/違反報告)
リオン - こんにちは!この作品とても良い内容ですね!!更新楽しみに待ってます!頑張って下さい!! (2018年11月23日 16時) (レス) id: 2014aa6b49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヴィズ | 作成日時:2018年9月3日 5時